山頂デザート @灼熱の八間山

「今週末、山行きません?」

ひさしぶりにS子先輩からの連絡が来た。もちろんいいですよ、ヒマですし。で、どこ行きます?

「八間山」

はぁ?八間山?

なんてマイナーな。普通は選ばないでしょ。まあ、どこでもいいので異論はありません。

野反湖に着いたのは9時少し前だった。八間山だけなら距離も短くすぐに終わってしまうので、ゆっくりスタートだ。

それにしても、なんで八間山?

「去年野反湖に来たとき、八間山登山口ってのがあって、登ってみたいなと思ってたから」

なるほど、確かに去年ニッコウキスゲが満開の時に来てましたね。

「それに、標高も高いから涼しいし」

えっ、標高高いっていっても、2000mもないですよ。そんな涼しいわけないのでは

「ほら、もう涼しい」

この夏は狂った猛暑で、息するだけで汗が噴き出す毎日が続いている。確かに下界に比べれば標高1600mの野反湖は多少は気温が低い。といっても、あくまでも多少だ。暑いには変わりない。こんなの登り始めたらすぐに激暑になるのは間違いない。

まあ、とにかく出発です。

案の定、登り始めてすぐに体温が上がってきた。汗が噴き出す。もわっとした空気が体にまとわりつく。遮るものがなく、灼熱の太陽にさらされ続けている。時おり吹く風が気持ち良いが、無風になると不快指数MAXだ。

とにかく登る。ひたすら登る。山頂までずっと登りなのだから。

ふと振り返ってS子先輩を見てみると、手ぬぐいを頭にかぶり、腰に手を当てて、うつむき加減で登ってくる。汗びっしょりでシャワーを浴びたみたいに髪の毛が濡れている。こんなに汗をかいてるS子先輩を見るのは初めてだ。

「暑いね

だから

山頂までほんの1時間だったが、十分にぐったりした。とてもあと3時間も歩いて白砂山まで行く気にはならない。まあ、そもそも最初から行かない予定である。

時間はたっぷりあるので、八間山で大休止した。

「じゃあ、まずはこれをどうぞ」

そう言ってS子先輩がザックから取り出したのは、冷えたビールだった。これは美味しかった。しかもほんとにちゃんと冷えてる。素晴らしい。

お昼ごはんには担々麺を用意した。ずっと以前に、次回から毎回これを持って来るようにとのお達しがあったほど、S子先輩お気に入りの自家製味玉がマシマシで2個入りだ。

「この味玉美味しいね」

前にも同じこと言ってましたよね。

「そうだっけ?覚えてない」

えっ、マジっすか

まあ、わたくしもだいたい自分の言ったこと忘れてるので、人のことは言えないですが

食後はS子先輩持参の山頂デザートをいただいた。冷えたゼリーである。冷たくてとても素晴らしい。というか、冷たいものばかり持ってきてるから、やっぱり暑いのわかってたんじゃん

ゆっくり休んだので下山する。

野反湖の北側に降りて、車を停めた富士見峠まで湖畔の遊歩道を歩いてもどる。

岸に降りられるところで降りてみた。釣り人もいるし、観光客もぽつりぽつりいる。

湖の水に手を浸すと

ぬるい

連日の猛暑で、湖の水も温度が上がっているようだ。ひゃー冷たーい!ってのを期待したのに、まったく期待外れだった。

どろどろの汗を温泉で流した後は、S子先輩が買った3本入りのトウモロコシを1本いただき、オススメのモツ煮を買って帰った。

早朝から夕暮れまでガツガツ歩くのではなく、こんなのんびり余裕のある一日も悪くないなと思った。まあ、まったく余裕の無い気温だったけどね。

2023年8月

 

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