緑の湿原、流れる沢 – 入笠山

緑の湿原が、やさしい風にゆれていた。

あぁ、夏はこんな風景だったんだ。そういえば「入笠湿原」って大きな看板もあるもんな。

真冬の、雪の降り積もった見渡す限り真っ白な世界から、生命の蠢く緑の夏山へ。

冷たく凜とした冬山もいいけれど、皮膚にじっとりまとわりつく夏山の空気も悪くはない。

夏だなって実感できるから。

山頂からぐるっと見える景色は霞んでいた。

夏だからね。まあ、見えてるだけでも儲けもの。

山頂からさらに先へ。

大阿原湿原からは、テイ沢を下る。

緑の苔を洗って流れる沢の音。

鬱蒼と茂る森のすき間からこぼれ落ちてくる日の光。

歩く人も少なく静か。

テイ沢のあとは、ぐるっと回って再び入笠湿原へ。

夏の始まりを知らせる一日だった。