円環の輪 – 傾山

ゆっくり起きたら、日が昇っていた。まあ、今日はそれほど長距離ではない。いそいそと準備して出発だ。

朝日を浴びた傾山が黄金色に輝いている。あそこが最後のピークになる。

疲れが溜まっているのか、ペースが上がらない。ゆっくりゆっくり、噛みしめるように登っていく。

祖母山、障子岳、古祖母山、本谷山、見えてる稜線をすべて歩いてここまで来た。

山頂まであと少しだ。

あんな岩場のどこを登るのかと見上げていたが、近づけばちゃんと道が付いていて、ほどなくして傾山の山頂に着いた。

やっと来れた。一年越しだ。

この一年、いろんなことがあった。あれこれ思い出し、感慨深い。

長かった縦走もこれでお終いとなると、ちょっぴり寂しくて山頂でぐずぐずしていたが、そろそろ下山することにしよう。

下山路は巻道を使うことにした。坊主尾根を下るつもりだったが、荷物が重いので自重した。最後の最後にやらかしてはつまらない。ここは確実に帰着したい。

これがしかし、ここまでの登山道とはガラリと変わって、まったくのバリエーションレベルだった。踏み跡は薄く、ほぼ消えている。普通に歩いていくと、すぐに谷へと吸い込まれてしまう。幸い、赤テープは豊富にあったので、しばらくテープを見ないと間違ったと気づくことができる。確実な地点まで登り返し、そこから崩れそうな斜面をトラバースしていくと、やがて前方に赤テープを見つけて、正しい方角を知ることになる。

そんなことを30回くらいくり返し、三ツ尾からは比較的はっきりした道を下って九折へと下りた。昼には下山できるかと思っていたが、昨日に続いて夕暮になってしまった。

車を停めた尾平まではまだ13キロあるが、あとは舗装路を歩くだけだ。一年前にお世話になったお宅の前も通る。

あと少し、まもなく円環の輪が閉じる。

2019年12月