OH!LA!HO
出会いは偶然でした。
素敵な出会いは、いつだって偶然から始まります。
それは四阿山からの帰り道。
温泉アプリで日帰り入浴できるところを探し、あまり遠くなく、高速道路のインターチェンジへ向かう途中にあるという理由で選びました。
それ以上の理由はありませんでした。
そして、そこで出会ったのは、温泉だけではありませんでした。
そこは、オラホビールという地ビール会社の所有地で、温泉の他にレストラン、売店、それにビール工場がひとまとまりになっている、ぱっと見、道の駅のような施設でした。
温泉に浸かりすっきりした気分で売店をのぞいてみると、当然ですが隣りで製造した地ビールがずらずら並んでいました。
どうしよっかな…。買おうかな…。やめとこうかな…。
正直、地ビールにはあまり期待してません。ふた昔ほど前の地ビールには、不味くて飲めないようなものも多々ありました。
最近は、さすがにそこまでいまいちなのは減りましたが(かといって無くなったってわけでもありませんが…)、とんでもなく美味しいってのにもそうそう出会いません。まあ、これならいいかって感じのビールがほとんどです。価格を考慮すると、あえて買おうと思うビールは稀です。
それでも買ってみたのは、ラベルが気に入ったからでした。
冷蔵庫のラベルコレクションに加えるために買っただけで、中身には期待してませんでした。その時、真剣に検討したのは、ラベルが剥がしやすいかどうかだけでした。
ちなみに、冷蔵庫のラベルコレクションってのはこれです。
帰宅してまずは一本飲んでみました。
ラベル目当てとはいえ、もちろんビールも飲みます。カードが欲しくてプロ野球チップスを買っても、ちゃんとお菓子も食べる少年でしたから。
このころから貧乏性でしたね…。
で、ひとくち飲んで愕然としました。
あまりに美味しいのです。
口に含んだ瞬間、全ての意識と無意識が舌の上に集中しました。いままでこんな美味しいビールを飲んだことがありません。
最初に飲んだのは好みではないタイプのビールで、普通ならあえて選ばないところです。それを選んだのは、ラベルが浅間山の絵だったからでした。
好みではないタイプのビールなのに、こんなにも美味しいと感じさせるとは…。オラホビール侮れないな…と認識を新たにしたのでした。
翌日、もう一種類のビールを飲みました。
いっぺんに両方飲まないのは貧乏性だからです。そしてこちらも感激するくらい美味しいビールでした。
1リットルのサイフォン型の瓶に入ったそのビールは、少々いいお値段がしましたが、これもラベルが気に入ったから買ったのでした。
でも、もうラベルなどどうでもよくはなくて、いちおう後日、素面の時に真剣に精神を集中してラベルを剥がしましたが、それよりもビール全種類買ってこなかった己の愚かさを悔やんだのでした。
それから1年数ヶ月。
上信越道が長野道と接続する少し手前という、いまいち行きにくい場所にあるので、山梨や長野や群馬の山にしょっちゅう出かけていても、なかなか訪れる機会がありませんでした。
が、しかし、今回ようやく黒斑山の帰りに行くことができました。
たまたま立ち寄ったのではなく、わざわざ行ったのです。帰り道とは反対方向に30キロほど走って行きましたから。
目的は温泉でもラベルでもなく、もちろんビールです。
まずは売店に直行し閉店時間を確認してから温泉へと向かいました。
温泉に入ってるあいだに売店が閉まっちゃったっていうマヌケな事態だけは避けなければいけません。先に購入しなかったのは、直射日光の当たる車内に大切なビールを放置する時間を少しでも短くするためです。
自分がどうでもいいと思ってることは適当にしかやりませんが、大切なことは真剣かつ完璧にやりとげる性格なのです。
温泉で身を清めてから、襟を正して売店へ。
当然全種類お買い上げです。
季節限定物もあり、ちょっと迷いましたが、次回の楽しみにとっておくことにしました。今回はレギュラー販売の四種類を買えるだけ買って飲み比べてみようという考えです。
それではここに、四種類を飲み比べた感想を記すことにいたします。
ゴールデンエール(黄色)・・・新鮮な苦味と芳醇な香りの黄金バランス。飲みやすくて、常飲するのにいいビール。しかしこれをいつも飲んでると、他のメーカーのビールは飲めなくなってしまうでしょう。
アンバーエール(赤)・・・コクのある味の濃いビール。琥珀色で見るからに濃そうな感じです。料理と共にというよりも、これだけで飲みたいビールです。
ケルシュ(青)・・・苦味と香りを抑えてキレのみで勝負するドライビール。汗をかいた運動のあとにはいいですね。
ペールエール(オレンジ)・・・ゴールデンエールの香り増し増し版。ひとくち飲むと口中から鼻腔までホップの香りでいっぱいになり、鼻息がいい匂いになります。
どれかひとつをおすすめするのは難しいですが、ふたつならゴールデンエールとアンバーエールだと思います。
以上、参考にされるかたがいらっしゃるとは思えませんが、自己満足と記念のために書いておきました。
敷地内にあるレストランにはまだ入ったことがありません。車なのでビール飲めないと悔しいですからね。
宴会メニューには、オラホビール飲み放題なんてのもあって、非常にそそられます。
だれか運転して連れてってくれないかなあ。