初めて降りる駅は新鮮 – 大野山

谷峨駅で電車を降りた。

単線の無人駅で、駅前はまさに”なにもない”と言っていいだろう。片側一車線の道路を、車がびゅんと走り過ぎていく。ここで停まる車などない。車内のだれも駅の存在にさえ気づいていない。そんな駅である。駅の背後は川、その向こうは山だ。

駅周辺に店らしきものはまったく見当たらず、自販機が一台あるだけだった。

これでも神奈川県である。神奈川県といえば、横浜や川崎をイメージするが、ここはたいそうな山の中である。東京でいえば奥多摩みたいなものだ。

電車を降りたらコンビニで食料を買って…と考えていたが、当てが外れた。まあ、行動食はあるし行程も短いから問題ないだろう。

のどかな風景の中を山へ向かって歩いていく。今日はここから大野山を目指す。

なんだか新鮮な気分だ。あまり来ないエリアだからだろう。どこかなんとなくいつもと空気が違う。

舗装路から登山道になり、さらに登ると雪山になった。

だれも登ってこない。途中からは踏み跡もなくなった。静かな山を登っていく。なかなか気分の上がる山道だ。

なだらかな雪の原を進んでいくと、山頂の広場に出た。雪を頂いた丹沢の主要な山々が、太陽の光に輝いている。

積雪後の一番乗りと思ったら、反対側から登ってきた登山者に先を越されていた。どうやら山北駅から登るほうが一般的らしい。車で上まで来ることもできるようだ。

今年からは丹沢に来る機会も増えそうだ。そしてそこでまた、新しい空気を感じることになるのだろう。

下山は山北駅側へ降りた。舗装路をとことこ歩き、こちらは駅前に数軒の店もある山北駅から、帰りの電車に乗った。