里山の冬景色 – 不老山 / 三国山

夜が明けたが、陽の光は樹林帯の底まで届かない。薄暗い登山道を登っていく。

予想通り雪はなかった。

御殿場線の駿河小山駅から標高928mの不老山へ登り、そこから1000m前後のピークをいくつか超えて1328mの三国山まで歩き、須走へ下山する。総距離は25キロほどになる。

昨夜は雪の予報だったが、積もっても数センチだろうと予想して、冬山用の靴でなく薄くてペラペラなシューズを履いてきた。たいした雪もないのに重い冬靴で25kmも歩きたくなかったからだ。

登り始めは土の出ていた登山道も、不老山に到着するころには雪で覆われていた。

ここからは富士の麓まで、尾根道をいく。

葉を落とした落葉樹林の明るい稜線、澄みわたる青い空、新雪の降り積もった山道、里山の冬の景色は美しい。

丹沢に箱根、愛鷹山と周囲の山々も輝いている。

ところどころ土の出ている登山道の積雪は、多いところでも数センチ程度。それでも、新雪に踏み跡をつけていくのは気持ちいい。

だれにも会わない、静かな山を歩いていく。ただひとり黙々と美しい風景の中を歩く、山歩きの至福の時間だ。

明神峠を過ぎて三国山の登りにかかると、雪が深くなってきた。日も陰り、寒々しい冬の山だ。

脛から膝くらいの積雪をツボ足で登っていく。標高が上がればそれなりに積もっているだろうと覚悟していたので、これは想定内だ。ペラペラシューズに雪が沁み、ローカットなので内部にも雪が入ってくる。でも、これもまた楽しい。

三国山まで登ると、スノーシューで歩いた跡があった。反対側から登ってきた人がいるようだ。

スノーシューのだれかのおかげで下山は楽々だった。

初めはトレースがあってがっかりしていたが、積雪が腰まであったので、もしトレースがなかったら、それはそれでたいへんだっただろう。

三国山まではけっこう時間がかかってしまったが、三国山からは一気に籠坂峠まで下山した。