お山のPDCAサイクル – 和名倉山

ちょうど一年前、朝から夕方まで一日中ずっと雨の北八ヶ岳を歩きました。雨だとわかってて行ったのです。一日中ずっと雨の中を歩くとどんなだろうと思って。

実際に歩いて初めてわかることも多かったです。ウェアの透湿性だったり、ザックやサコッシュの防水性だったり、電子機器の耐水限度だったり。蒸れや濡れの対策、歩き方や休憩の取り方、どんな食べ物や飲み物が欲しくなるかなども。

やはり知識や情報だけでは経験の蓄積は補えないんだなと実感しました。見たり聞いたりするだけで試さない奴はバカだと本田宗一郎も言っています。試したうえで改善点や、より自分に合った方法を考え実践していく以外にスキルアップの手段はありません。まさにPDCAサイクルです。

仕事ではよくPDCAサイクルを回し続けるのが重要だとか言ってますが、仕事以外だってもちろんそうです。いや、仕事はもらうお金に見合ってると自分が考える程度にしかしなくても、遊びは全力で取り組むべきでしょう。

今回はさらに一歩進んで、雨の中のテント泊を計画しました。雨の中での設営撤営、食事のしたくやトイレなど生活技術も、実際にやってみないとわからないことは多いはずです。

Plan! Do! Check! Action! 行ってきます!

と気合を入れて来てみれば、予報に反して曇り空。夕方には真っ赤な夕焼けも見えてました…。明日はいい天気になりそうです…。

まあ、これはこれでいいけれど…と、いまいち釈然としないまま、担いできた肉を焼き、担いできたビールを飲みます。

翌朝は予報に反して予想通りの快晴でした。

なんか気が抜けた…。ざんざん雨の降る中を歩く覚悟で来ていたので、思いっきり肩透かしをくらいました。まあ、これはこれでいいですけれど…。

天気予報のせいなのか、昨晩の将監小屋に泊まってたのはわたくしひとりでした。今日も、しばらくはだれも登ってこないでしょう。貸切の稜線を歩いて和名倉山へ向かいます。

真っ青な空に白い雲、緑の山々。見渡す限り山と空しか見えません。いつもならめっちゃテンション上がるはずなのですが、いやそれなりにテンション上がってるんですが、なんとなく複雑な気分で歩きます。ガスガス真っ白で土砂降りの雨の中を歩くつもりたったので…。いやまあ、これはこれでというか、このほうがいいんですけれど…。

和名倉山へ近づくにつれて、尾根は広くなり踏み跡は薄くなり、だんだん分かりづらくなってきました。こんなところでルートを外しても、すぐに気づけるし簡単に復帰できるようにはなりました。これも、破線ルートや無線ルートでPDCAサイクルを回し続けてきたおかげです。

そういえば、山で米を炊くのもずいぶん上達しました。玄米はまだいまいちですが、白米ならけっこうおいしく炊き上がります。これも、水加減や米の量、火の大きさや火にかける時間などを工夫してくり返し実践してきたからこそ今があるのです。

やはり、計画し実行し検証し改善し、また再び計画し実行し…のくり返しの先にしか、求めるものはないのだろうと思います。

どんなことでもね。