Good-bye Days

いつかは来るとわかってた日が、ついに来た。とうとう来た。いや、ようやく来た…かな。

この二年半以上、毎日毎日それは今日かもしれないと思い続けてきた日が。

このあいだずっと、あと一年とか一日でも長くとか思わずに、その日を無事に過ごせたら、そのことに感謝してきた。おまけの日々なんだから欲張らないようにと。そしてそのおまけの日々は、思ってたよりも長く続いてくれた。それだけでも幸せなことだと思う。

その日がいつやってくるのかわかっていれば、それなりに満足のいく暮らしをおくれるのかもしれないけど、それがいつかはわからないのが人生の切ないところ。だからこそ、その日その日を精一杯に生きるしかない。

これでほんとうにひとりぼっちになっちゃったな。

なんだかいろいろあったけど、ぐるっと大きくひと回りして、また元のところにもどってきたようだ。きっとこれが自分のいる場所なんだろう。

まだあまり実感はないけど、これからじわりと身に染みるんだと思う。

山から下りても、もう早く帰らなきゃって思うこともない。いや、もう帰らなくてもいい。いままでは、山に登っていても車を運転していても、絶対に生きて無事に帰らなきゃないけないと強く思っていたけれど、もうそんな必要もない。

いつでも好きなときに死ねる自由も手に入れてしまった。

あの日、いつものように出かけて、きっと一日苦しんでたろうけど、帰るまでがんばっていてくれて、最期のときはいっしょにいたいという唯一の願いを叶えてくれたこと、とても感謝している。前日までは普通にしてたし、ほんとうに手のかからないやつだった。

ひとり部屋にいると、ふと視線の先に気配を探してしまい、もういないんだなと思い直すことが何度もある。

心にぽっかり空いた大きな穴は、時間が経てば多少は小さくなるかもしれないけど、きっと一生ふさがることはないだろう。

切ないというか愛おしいというか、精一杯のことをしてやりたいけど、もうなにもできないもどかしさというか、そんな気持ちでいっぱいだけど、不思議と悲しいとは感じていない。

いままでの日々に感謝して、残された時間は自分のために使おうと思う。

ありがとう。やすらかに。