桜の森の満開の下で

小川町小学校下里分校。

埼玉県比企郡小川町にある、ちいさなちいさな木造の小学校です。

数年前に廃校となりましたが、その前から生徒はいなく、もうずっと静かな時を刻んできました。いまはNPO法人が管理し、保存と活用を行っています。

空は広々として、里山と澄んだ空気に包まれて、校庭の脇には小川が流れていて、なんとも清々しいところです。

この日は年に一度の桜祭り。日ごろは静かな小学校も、多くの子供たちで賑わっています。

どこにこんなたくさんの子供たちがいたんだろと尋ねてみれば、どうやら近所の子供たちではなく、近隣の市町村から遊びに来ているようでした。

そうですよね、こんなに賑わうなら、そもそも廃校にはならないでしょうからね。

いつもは静かな校庭にも、子供たちの声が響きわたっています。

校舎も校庭の遊具も桜の木々も、この日を待ちわびていたかのように嬉しそう。

桜祭りにあわせて、校舎の内部も見学できました。

小さな平屋の校舎には、往時の想い出がたくさん詰まっているようでした。

校庭の隅に陣取りお花見開始です。

ほどなくして祭りは終わり、出店や来客者も少しづつ引けていきます。われわれはかまわずお花見を続けます。

とりとめのない話をしていると、時間はあっというまに過ぎていきます。

先ほどまであんなに賑やかだった校庭に、いまは穏やかな風が吹いています。

お祭りのあいだ遊具にかけられていた使用禁止の札も外されました。

鉄棒、うんてい、上り棒、ジャングルジム、ブランコ、シーソー、タイヤ飛び。

子どものころは軽々とできたはずなのに、けっこうたいへんで、なかなかできないことに愕然とします。身体が重くなったせいでしょうか…。

日が沈み、薄暗くなった学舎ともそろそろお別れです。

一年後、再び輝くその日まで、ここには静かな時が流れているのでしょう。