あの日の自分を追い越して行け!! – 金峰山
うんざりするほど長い樹林帯の登りを抜けて森林限界を超えると、目の前には山頂へ続くギザギザの稜線。
金峰山のシンボル五丈岩もはっきりと見える。
金峰山、この山に登ったことで、その後どっぷり登山にハマることとなった思い出の地。
それまで奥多摩周辺の山登りがメインだったぼくに、標高の高い山のおもしろさ、とりわけ森林限界を超えた稜線歩きの楽しさを教えてくれた山。
あれからいくつもの山に登り、他にも楽しい山がたくさんたくさんあることを知ったけど、それでもここは特別な場所。
五丈岩の前に立つと、なんだかちょっぴり神聖な、なんだかちょっぴり切ない気持ちになる。
あの日の帰り道、携帯の電波が入らない山域を離れてようやく、山に登っている間に無数の着信があったことを知った。いま振り返ると、あのとき断ち切っておけば、その後あんなに心を追い詰められることもなかったのにとも思う。
でも、そうすることはできず、その後もどんどんと不条理な要求はエスカレートしていき、心は深い深い闇へと追い詰められていくのであった。
余計なことを思い出してしまった。
もうやめよう。このことはすべて、始まりから終わりまですべて記憶から消し去りたい。
これからだってきっといろんなことがあるだろうけど、なにがどんなに変わっても、ここはいつでもぼくにとっての特別な場所。
2013年10月