甲斐駒黒戸尾根 日帰りピストン

黒戸尾根。

この名前を聞けば、登山を趣味とする人ならなにがしか思うことがあるはず。日本三大急登の一番手、つまり日本一の急登なのだ。

この尾根を日帰りしてくる人も多い。中にはとんでもない短時間で行ってくる人も。

ちょっと前の自分なら無理だろうと思ったけど、いまなら行けそうな気がする。挑戦してみようかな…。そんな気になって行ってみた。やるなら当然日帰りだ。

前半は樹林帯。延々と登る。急登といっても、このあたりはまだそれほどでもない。

五合目を過ぎたころから、徐々に本気を出してくる。

七合目を過ぎるといよいよ核心部だ。急登ということはつまりは標高差が大きいということであって、つまりは短い距離でたくさん登るのである。最大の急登ってのは垂直の壁ということになる。

実際に垂直に近いような壁もある。ただし、クサリやハシゴでばっちり整備されていて、登るのにも降りるのにも支障はない。

三大急登ってのが三大難所というわけではなく、通過が困難な場所は他にいくらでもあるから。あくまでも距離に対して稼ぐ標高差が大きいということ。まあだから、登るのは体力的には厳しいということにもなるけど。

森林限界を超え、山頂に向かって最後の登りを登ってるとき、ガスが切れて青空が見えてきた。朝から曇天で時折雨もパラついていたというのに。

早く早くという思いで登る。つかれて足が重くなってきたのを見計らって、山の神様が目の前にニンジンぶら下げたかのようだ。

駒ケ岳神社本社のあるピークを超え、北沢峠からの登山者で賑わう最高点へ向かう。いつもなら下ってから登り返すのダルいなってタラタラするとこだけど、青空が見えてるうちにと一気に登る。

奇跡的にガスが晴れて視界が広がっている。黒戸尾根の登頂を祝福してるかのように。

だけど、ここで半分で、このあと下らなきゃ行けないんだよね。

ゆっくり30分ほど休憩し、青空の山頂を堪能した。

いつまでもいそうだったけど、またガスが出てきたので下山するとこにした。そろそろ帰れよってことだな。時間的には暗くなるギリギリだから。

下りは、黒戸尾根の長さをイヤというほど思い知らされた。

岩場は軽く下ったけど、その後の樹林帯の長いこと長いこと。足の筋肉も限界を超えて力が入らない。

夜の帳が下りて辺りが闇に包まれ始めたころ、ようやく下山。駒ケ岳神社にお礼参りをして終了。

充実した一日だった。

これでついに黒戸尾根日帰りストの仲間入り!!