ほかほかほんわり春の山 – 鎌倉山

大瀬園地の駐車場に車を停めた。よく晴れた3月の日曜の朝、他には誰もいない。のどかでのんびりした風景に包まれて、大きく息を吸い込んだ。

今日登るのは、目の前に見えている鎌倉山だ。なんだか小さな山に見えるが、本当に小さい。標高は200mちょっとしかない。そんな小さな山に登って楽しいの?みたいなことを言われたりもするけど楽しいのだ。山の楽しみ方なんて人それぞれだし、わかってもらえない人にわかってもらうのは不可能である。

のどかな集落をとことこ歩いて登山口へ向かった。

いちおう案内板もあるし、階段や手すりで整備されているものの、もう長いこと手入れされてなさそうだ。昭和の一時期に賑わって、その後は忘れられてしまった多くの観光地のひとつなのだろうか。

そういえば今日はまだ誰にも会っていない。駐車場にも他の車は停まってなかった。観光施設も休業中のようだったが、シーズンオフだからであって、季節によっては多くの人が訪れたりするのだろうか。

それにしてものどかだ。春の陽気にほかほかほんわりする。このあたりは同じ栃木県といっても、一般的に思い浮かべる栃木の山とは雰囲気がぜんぜん違う。

宇都宮や塩原の西側は日光や那須を始めとする峻険な山岳地帯だが、平野の東側は標高の低い穏やかな山地で、小さな山がぽこぽこと連なっている。もう少し行くと茨城県だ。可愛らしい山々は次第になだらかになり、やがて平野となって海に至る。同じ北関東といっても、群馬や栃木と茨城では、山の様子はずいぶん違う。

山頂広場らしき場所に出た。反対側からは舗装路が通じていて車で来ることもできるのだが、別にいいのだ。歩いて登っても30分くらいだし。

広場の手前が少し高くて神社もあったので、そこが山頂なのだと思っていたが、念のため地形図を確認してみると、神社の場所に山頂マークはなく、少し離れたところに216m、反対側に少し離れたところに207mの山頂表示があった。山頂広場の標高は203mで、神社はそれより少しだけ高いから205mくらいだ。

せっかく来たのだから最高地点に登頂したい。まずは216m地点を目指してみる。

山頂広場の周囲にはフェンスがあり、乗り越えないと216m地点には行けないのかなと思ったら、そこへ続く部分だけはフェンスが途切れていた。なにがなんでも最高地点を目指す酔狂者のための配慮だろう。案内表示は特にないので、わかってる人だけのための切れ目だ。

鎌倉山の最高地点は、雑木林に囲まれた特になんでもない小ピークだった。まあ予想通りだ。でも、これでいいのだ。

酔狂者なのでもうひとつの山頂、207m地点にも行く。こちらは車道から逸れて斜面を少し登るだけで着いた。やはり同じようになんでもない小ピークだったが、こちらには小さな祠があった。まあ、それだけだ。

そんなとこに登ってなにが楽しいの?と尋ねられることも多々あるが、これが楽しいのだからこれでいいのだ。

満足したので下山する。

2026年3月