とんこつ / しゃぶしゃぶ / ロースカツ – 鹿児島 黒豚料理
鹿児島に来たからには、黒豚は外せない。豚肉の中でも黒豚は格別だ。牛肉にはない豚肉の美味しさを堪能できる。もう10年以上も前のことになるが、鹿児島旅行で食べた黒豚の味をずっと覚えている。
とんこつ
今回、絶対に食べてみたかったのは「とんこつ」だ。とんこつラーメンではない。「とんこつ」という料理である。
とんこつを知ったのは、元カノY子のおかげである。Y子のお母さんは鹿児島出身なのだが、そのお母さんの作る料理の中で唯一好きなのがとんこつだとY子は言っていた。Y子によれば、とんこつというのは味噌味の角煮らしい。
Y子とはあっという間に破局を迎え、お母さんの手料理をいただく機会もなかったが、とんこつのことはずっと気になっていた。誰かが美味しいと言った料理は、食べてみたいではないか。あれからずいぶん長い時間が過ぎ去ったが、ようやくとんこつとご対面だ。

肉は骨付きの豚バラ肉、つまりスペアリブである。よく煮込まれていて骨がするっと抜けるし、軟骨もポリポリ食べられる。味噌はもちろん麦味噌だ。甘めの味付けだが嫌な甘さではなく、甘味にコクと奥行きがある。汁がとても美味しいのに、ほんの少ししかないのが残念だった。肉を食べるだけでなく、この汁もたっぷり飲みたくなる。
聞けば、黒豚のスペアリブを焼き付けて芋焼酎を振りかけ、麦味噌と黒糖で煮込んでいるそうだ。黒豚、芋焼酎、麦味噌、黒糖と鹿児島特産品のオンパレードである。おいどんはとんこつが大好物でごわすと言いたくなるくらい薩摩である。
しゃぶしゃぶ
黒豚料理でぜひとも食べてみたかったのはもうひとつ、しゃぶしゃぶだ。10年前に鹿児島を訪れた時に黒豚のとんかつを食べてその美味しさに感動したが、肉の旨さを味わうならしゃぶしゃぶの方がより良いだろうとも思った。しゃぶしゃぶを一人前から食べさせてくれる店がなかなか見つからなくて食べられずにいたのだが、ようやく待望のしゃぶしゃぶだ。

肉はすべてバラ肉だった。脂身が太々しくて味が濃い。
鹿児島人と私はバラ肉のしゃぶしゃぶがお好みのようだが、バラ肉だけのしゃぶしゃぶは観光客に不人気だという。脂がクド過ぎるというのだ。そこで観光客相手の店では、バラとロースを半々にして出してるらしいが、この店はすべてバラ肉だった。見回せば、客はどう見ても地元の人ばかりである。私は脂身が大好きだし、豚肉の中ではバラ肉が一番だと思っているのでこれで良い。
しゃぶしゃぶなので火を通し過ぎないほうがいいのかもしれないけど、そのへんはよくわからない。豚肉なので赤いところがなくなるまでは火を通して食べた。スーパーで見かけるしゃぶしゃぶ用のペラペラ極薄切りではなく、厚みも普通にあるので、加熱時間もそれなりに長くなってしまう。

出汁の味はかなり濃い。濃い出汁で煮てそのまま食べる。肉の味が強いので、これくらい濃い出汁でないと負けてしまうのだろう。九州なので柚子胡椒が添えられるが、なにも付けない方がダイレクトに美味しい。
あまりに美味しくて肉をお代わりした。当然ながら、お代わり肉もすべてバラ肉だ。この店ではしゃぶしゃぶ用のロース肉は用意してないだろう。

さすがにニ皿も食べると後半はややクドくなってきたが、そんな時は柚子胡椒でサッパリさせるといい。
立派な脂身のバラ肉を満足するまで食べて多幸感に包まれた。
とんかつ
今回はとんこつとしゃぶしゃぶがメインだったのだが、最後にとんかつも食べた。ヒレ肉もあったので心が揺らいだが、やはりここはロースカツだろう。
とんかつの有名店は市内に何店もあり、どこも観光客と地元民で賑わっている。どこで食べてもハズレないはずだ。

黒豚のとんかつは安定して美味しい。赤身の凝縮された味に、脂身のしっとりした旨さがアクセントに加わる。ビールと共に食べるも良し、甘くて濃いソースをかけて白飯とともにかき込むグルーブ感を満喫するも良しだ。
とんこつ、しゃぶしゃぶ、とんかつとどれもそれぞれに良さがある。ひとつを選べないので、すべて食べるしかあるまい。
2025年12月





