冷たい中華そばとぬるめ中華そば – 山形ラーメン探訪記 2

冷たい中華そば

山形のラーメンといえば、真っ先に話題に上がるのは冷しラーメンだろう。四天王より冷しラーメンの方が世間一般的にはよく知られていると思う。

冷しラーメン、あるいは冷たい中華そば等、店によって呼称にバラツキはあるが基本的には同じものだ。冷し中華とは別物である。まぎらわしいことに冷しラーメンと冷し中華の両方がメニューにある店も多い。表記も統一されてないので、「冷しラーメン」と「冷し中華」とか、「冷たい中華」と「冷し中華そば」などと書かれると混乱するが、雰囲気でなんとなく区別できるはずだ。

冷しラーメン、あるいは冷たい中華そばとは、冷たいラーメンのことである。一見すると普通のラーメンだが、よく見ると氷が浮かんでいる。スープはもちろん冷たい。冷え冷えだ。冷えてはいるが脂が固まっているようなことはなく、さらっと食べられる。夏の盆地の暑さの中でも美味しく食べられるように生まれたという。

冷しラーメンは県内各所で食べられていて、酒田や米沢で食べたこともあるが本場は山形市だ。数多い提供店の中でも有名なのは栄屋だろう。冷しラーメン発祥の店と言われている。

冷しラーメンは夏の食べ物で、多くの店では夏季限定メニューだが、山形や寒河江では年間を通して提供している店もある。真冬でも冷しラーメンが食べられるのだ。一度、雪山から下山して冷しラーメンを食べたことがあるが、身体の芯から冷え切ったのでおすすめはしない。

ぬるめ中華そば

山形では「ぬるめ」のラーメンもわりと一般的だ。「ぬるめ」あるいは「ぬるま」とメニューに記載されている。これは文字通りぬるいラーメンだ。どの店でもあるわけではないが、古い店ではメニューにあることが多い。山形県内のみならず、秋田県南部でも見たことがある。

そもそも昔ながらのラーメンはそれほど熱々ではない、場合によってはぬるいと感じられることもあるだろう。山形県内のラーメン店でも、だいたいがこの熱々ではないラーメンが出てくる。では、ぬるめラーメンはどれくらいぬるいのかと言うと、これが想像を絶するぬるさなのだ。ちょっと冷めたくらいのラーメンを想定して食べると、あまりのぬるさに脳が戸惑う。もちろん冷たくもない。常温だ。

熱々のラーメンは口内を火傷するのであまり好きではない。適度に冷めた方が味わいもいいと思う。冷たいラーメンも暑い夏にはとても良い。さっぱりしていくらでも食べられそうだ。しかし常温のラーメンは意外過ぎる。温かいと思って口に入れると温かくも冷たくもないのだ。食べてるあいだずっと不思議な感覚になる。

こんなの誰が食べるのだろうと思うが注文する人はそれなりにいて、今まで何回か見たことがある。注文主はすべて高齢の男性だった。

美味しいのか?と問われると、美味しいとは言い切れないけれど、この不可思議な感覚を一度は体験してみるのも悪くない。



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