無慈悲な雨の東北遠征 – 磐梯山 / 西吾妻山
雨。ずっと雨。
夜半過ぎから登山口の駐車場で待機しているが、明るくなっても雨はやみそうにない。仕事の終わった金曜の夜に車を走らせ、7時間かけて来たというのに無慈悲な雨は降り続く。
せっかく東北まで来たんだし小雨なら登ろうか…と思ったが、車から出る気にならないくらいは降っている。
しかたない、あきらめるか。喜多方の街にもどってラーメンでも食べよう。
峠の駐車場から、ひとまず裏磐梯へ向かった。湖まで降りて来ると雨は小降りになり、ほとんどやんでいた。
車を停めて湖畔へと歩いていく。雨上がりに煙る湖の向こうに、対岸の山が見えている。心がすっと軽くなる。
湖畔の踏み跡を伝って歩いてきたがずいぶんと遠回りだったので、帰りは駐車場までショートカットで戻ることにした。
雨が溜まって柔らかくなった岸辺を歩いていく。靴が泥だらけになる。あと少しのところで藪に阻まれた。しかたないので藪を漕ぐ。雨に濡れた藪漕ぎだ。すぐに全身が濡れてしまう。足元は泥々。いったいなにをしているのだろう。これじゃあ、雨中のバリエーションルートと同じだ。ここは山じゃなく湖だというのに。
どうせ濡れるんだったら、登っててもいっしょだったな。そうだ、やっぱり登るか。どうせ濡れたんだし。
藪をかき分けかき分けて、最後は胸の高さをよじ登り、ガードレールをくぐって舗装路に出た。すぐ目の前が駐車場だ。方向感覚ばっちりだ。
車に乗り、登山口の駐車場へ向かった。
朝方の雨は霧雨に変わっていた。八方台登山口から磐梯山を目指す。2時間もあれは到着するので、遅めの出発でも大丈夫だ。
山頂に着いたときには雨はやみ、ガスも切れてきた。吾妻連峰が頭を雲の上にちょこんと出している。
けっきょく天気にかかわらず、山に登れば楽しい。それが初めて登る山ならなおさらだ。今度は天気のいい日に、360度ぐるりと見渡せる日に来よう。
下山する頃には、青空ものぞいていた。
翌日も東北、そして天気もよろしくない。
しかしもう天気のことでごたごた言わない。とにかく登る。白布峠に車を停め、西大嶺を超えて西吾妻山へ行く。昨日よりは登山らしい登山になるだろう。
まずは西大嶺への登りだ。樹林帯を歩き、最後はけっこうな急登を上がっていくと、ぽっかり開けた山頂に出た。
ここから西吾妻山までは、見通しのいい稜線を歩いていく。
時おり青空も見える。気分は悪くない。
西吾妻山の山頂は木々に囲まれで展望のない猫の額ほどの空き地で、ここが最高地点であるという以外に意味の見出せない場所である。
しかし山頂の周辺は、美しい高層湿原や、広々としたゴロ岩地帯など、変化に富んでいて歩いても飽きない。
梵天岩まで行ってから天狗岩へもどり、吾妻神社に参拝した。ここでのんびりして天気の回復を待つ。
昼ごはんを食べ、ぶらぶらしていたが、天気は良くなりそうで良くならない。そうこうしてるうちに雨が落ちてきた。
しかたないので下山だ。西大嶺までもどり、そこからは樹林帯の急な下りになる。岩がゴロゴロしていて歩きにくい。雨に濡れて、もともと滑りやすい岩がさらに滑りやすくなっている。ゆっくり下らないと、転んでしまいそうだ。
ここんとこ毎週、雨の中の登山だよなと思ったら、なんだか楽しくなってきた。