ある晴れた日の北アルプスにて – 常念岳 / 横通岳 / 東天井岳

すごい疲れた。なんでだろう。一昨年、同じルートを登った時は、もっと快調だった。おそらくシャリバテしたからだろう。体重増加のせいかもしれない。まさか歳のせいだなんて思いたくもない。

一ノ沢から常念乗越まで登っただけでバテバテだったが、テントを張ってさらに先を歩くことにする。

以前にも大天井岳まで同じルートを歩いているが、今回の目的はその間の二つのピークだ。前回は巻いてしまった横通岳と東天井岳のピークを踏みに来たのだ。

この二つの山は日本百高山に入っていて、横通岳が国内73番目、東天井岳は58番目に高い山なのである。30番の大天井岳と45番の常念岳を合わせると、この短い距離に国内100の高峰のうち4つがあることになる。

それにしても、一昨年は常念乗越から常念岳へ登り、さらにテント装備を担いで大天井岳まで行ったのに、今日は装備を常念小屋に置いてきたにもかかわらずヘロヘロである。まあ、前回は荷物が重くて横通岳と東天井岳をパスしてしまったので、今回はそのやり直しなのだが。

横通岳はなかなかに立派な山だ。見てるとあっさり登れそうだが、登ってみると手ごたえがある。空気も薄くなっているので、体が重く息が上がる。

横通岳から先へ進む。森林限界を超えた稜線を歩くのは気持ちがいい。バテバテだけど気持ちいい。

東天井岳直前の残雪で怖いトラバースを慎重に通過し、縦走路をそれて東天井岳の山頂へ向かった。

そうそう、このトラバースの手前で追いついてきたのが、その時は気づかず後でわかったのだが、友人D氏であった。こちらは後ろ向きだったので気づかず、あちらも前を歩いている軽荷なのにヘロヘロなのが、まさかわたくしだとは思わなかったらしい。背中越しに言葉をかわし、縦走路をそれて東天井岳へ登ってしまったので、それがD氏だとは気づくこともなかった。

東天井岳に到着し、大天井岳を望む。

うーん、遠いな。下って登ってだし。常念乗越まで戻らなきゃならないし。今回は二つのピークを踏んで目的を果たしたので、ここまでということにしよう。バテバテだしな。

テントへもどってビールを飲むと、早々に寝てしまった。

翌日も快晴。北アルプスが赤く染まっている。

せっかくなので常念岳へは登っておく。昨日の疲れが抜けてなく、ゆっくりとした歩きだ。

振り返ると横通岳が聳えていた。やっぱりどうしてなかなか立派な山容だ。

フラフラになって山頂に着いた。

槍から穂高の稜線が目の前に。昨日歩いた道も見える。足元からは蝶ヶ岳へと続く縦走路が伸びている。なんと素敵な朝なのだろう。

下山するのが惜しくて、いつまでもここにとどまっていたかった。

乗越へ降りて未練がましくダラダラとテントを片付けていると、昨晩は大天井にテントを張っていたD氏が現れた。山でばったり会うのは2回目だ。

しばらく話をし、常念へ向かうD氏を見送った。

さて、自分も自分の場所へと行こう。

テント装備の詰まったザックを背負い、一ノ沢へと下り始めた。

2018年6月