観光登山 – 比叡山

始発の叡山電車で八瀬まで来た。ここから比叡山へ登る。せっかく京都まで来たのだから、登山もしておくのだ。

終点の八瀬比叡山口駅で降りたのは、私の他には土産物屋の御主人が二人だけだった。ケーブルカーの運行時間になれば観光客も来るのだろうが、それはまだ3時間も後だ。歩いて登る人は多くないのだろう、登山口が非常にわかりづらい。道標もなにも無い。

本当にこれであってるのか不安になるような林道を進み、高校のグランドで行き止まりになったのでフェンス沿いに山に入った。ここに入っていいのだろうかと躊躇するような取り付き点だった。

入山してしまえば、ピンクテープは豊富だし踏み跡は明瞭だ。順調に登っていく。

2時間も登るとだだっ広い駐車場に出た。山の上にあるとは思えない規模のバス乗り場もある。

どうやら山内の寺や仏塔を巡回するバスの乗り場のようである。山の上に道路を整備して、観光スポットを巡るバスを走らせるとは、やることのスケールが違う。さすが織田信長とやり合っただけのことはある。

駐車場から僅かに登ると大比叡に着いた。ここが比叡山の最高地点なのだが、周囲より少し高くなった小スペースで、山頂らしさはない。特になんの道標も出ていないので、うっかりすると通り過ぎてしまうだろう。

寺院としての比叡山のメインエリアは、山頂から滋賀県側へ下ったところになる。そちらの方へと進んでいく。

東塔まで来ると山道は終わる。ロープウェイの山頂駅からここまで30分足らずだが、徒歩だと山の中を歩かなければならない。それを避けたい人が、シャトルバスで移動するのだろう。

早朝の境内は静寂に満ちていた。

延暦寺の本堂である根本中堂は、10年がかりの大改修の最中であった。工事用のフェンスで覆われているが、内部に入り参拝も工事見学もすることはできる。写真で見た根本中堂は、回廊に囲われた中庭を持つ、寝殿造りのかっこいい建築だったので、改修が終わったら再び訪れたい。

延暦寺を後にして、眼下の琵琶湖へ向かって下っていく。

山を降りたところが、門前町の坂本だ。

緩やかな坂道が、琵琶湖まで続いていた。

2022年3月