2021年の南アルプス 〜 出発前編

オリンピックの四連休はどこに行こうかと考える。本来ならこういうときは北アルプスだが、今年は多くの小屋でテント泊が予約制になっている。天気予報の悪くない四連休では、すでにいっぱいだろう。

ならば南アルプスだ。南アルプス南部ならテント泊の予約なんて必要ない。そもそも小屋が営業していない。テント場を自由に使うことができる。バスも運休なので、登山者もそれほど多くはないだろう。

赤石岳をメインにしたかったので、天気の良い早朝に到着できるよう予定を考えた。

初日は長い林道歩きからの東尾根を登って赤石小屋泊、二日目は赤石岳からの百間洞、三日目は聖平、最終日は南アルプスで唯一の晴天の山頂を経験していない上河内岳に登り、茶臼から下山する。これなら余裕を持ってのんびり縦走することができる。

二日目と三日目の行程が短めだが、梅雨明け直後は午後になると天気が崩れやすい。この予定なら、稜線を歩くのは晴天の午前中だけになる。

この完ぺきな行程に、思わぬ横ヤリが入った。

猛暑を前にして故障してしまった我が家のエアコンの新規取付け工事を、この四連休中にしなければならなくなったのだ。他の日にしてくれと言いたいところだが、連日の寝苦しい夜とはできるだけ早くサヨナラしたい。それに我が家のエアコンは少々特殊な設置方法になっていて、取付け作業ができる業者がほとんどないのであった。ようやく訪れたこの機会を逃すと、夏が終わってしまいそうである。

しかたないので、エアコン工事は最終日にして、前半の三日間で南アルプスへ行くことにした。四日の予定を三日で歩けばいいのだ。なんとかなるだろう。

A案:二日目と三日目の予定を一日で歩き切る。赤石小屋から聖平までだ。これはけっこうな長時間行動になる。

B案:二日目は兎岳避難小屋まで行き、三日目に聖平から下山する。これだと上河内岳には登れなくなってしまうし、下山後は再び林道を歩いて戻らなければならない。

C案:エアコン業者に連絡して、都合が悪くなったからと日を改めてもらう。今年の夏はエアコン無しで乗り切る覚悟が必要だ。

以上、三段構えの山行計画で南アルプスへ向かった。

つづく