コロナで登る地元の山々 – 笙ノ岩山 / 蕎麦粒山 / 川苔山

今週も奥多摩だ。緊急事態宣言が再延長されたので、奥多摩通いもまだしばらく続く。

未踏の多摩百山の中から、今回は笙ノ岩山を目指す。笙ノ岩山は、川乗橋から蕎麦粒山へダイレクトに登る鳥屋戸尾根上にある。

ずいぶん昔に初めて川苔山へ登ったとき、川乗橋から林道を歩き始めてすぐに蕎麦粒山への分岐の道標を見つけて、ここから蕎麦粒山にも登れるんだと知った。それ以来、いつか登ってみようと思っていたその「いつか」が、ようやく来たのだ。積極的にいかないと「いつか」はなかなかやって来ない。あの日の「いつか」がやって来たのも、緊急事態宣言のおかげだ。

鳥屋戸尾根は思ったよりもしっかりルートになっていた。まあ、登り口に道標があるくらいだから当然と言えば当然である。傾斜はなかなかキツく、一方的に登りが続く。杉林に囲まれて展望もなく地味である。

陽の射さない薄暗い針葉樹林帯を抜けて、葉を落とした明るい落葉樹の森に変わると、まもなく笙ノ岩山に到着した。

夏だと生い茂った木々に遮られて見えない風景も、冬の今なら眺めることができる。ザックを下ろしてゆったりした時を過ごした。

とりあえずの目的地まで来たが、ここは尾根の途中である。例によって主稜線まで登り切る。

笙ノ岩山からは登ったり下ったりをくり返しながら、徐々に高度を上げていった。

最後のザレた急登を一直線に登ると蕎麦粒山の山頂だった。

ひさしぶりに来たなここ。眺めもよくて好きな山頂だ。

予定よりも早く着いたので、ゆっくりとお昼ごはんを作って食べた。

時間がなければ日原へ下山して、バスと電車を乗り継いで車を停めた鳩ノ巣駅までもどるつもりだったが、この時間なら歩いてしまおう。

冬の長沢背稜は美しい。春も夏も秋も悪くはないが、冬が一番だ。

蕎麦粒山を後にして日向沢ノ峰を超え、川苔山を目指して進む。

川苔山はあいかわらずの賑やかさだった。ここに来るのもひさしぶりだ。最近は遠くの山へ出かけることが多くて、身近な山に登る機会が少なくなっていた。こうしてなつかしい場所を再び訪れることができたのも緊急事態宣言のおかげである。コロナ禍も悪いことばかりではない。

楽しそうな登山者でいっぱいの川苔山を後にして、鳩ノ巣へのちょっと長めの下山路に入った。

2021年3月