東北の山を旅する – 姥ヶ岳/ 月山
雪山がいいのは、どこでも好きに歩けるところだ。決められた登山道ではなく、それぞれの判断でそれぞれが進む。
沢を詰める人、なるべく高低差少なく進む人、私は高いところを歩きたいので稜線を行くことにする。リフトトップまでゲレンデを登ったら、トラバース気味に進む人たちと離れて姥ヶ岳へ向かった。
ここからは稜線歩きだ。アップダウンはあるが気分は良い。
ひと月ぶりの登山で体は重いが心は軽い。青い空と白い山、最高じゃないか。
山頂に近づくにつれて、それぞれのルートがひとつに収斂していく。
傾斜が急になってきた。スキーを背負って登っている人が多く、下の方なら緩やかなので自分でも滑れそうだったが上部はとても無理だ。
気温が高くてアイゼンが効きづらく、ズルズルと滑る。上りなら問題ないが下りは少々怖いかもしれない。
まあ、帰りの心配は帰りにしよう。
急登が終わると、広々として穏やかな平原に出た。
やはり今年は雪が少ないのだろうか。日当たりの良い場所や風が吹き抜けるところは地面が出ている。
雪に閉ざされた頂上小屋を過ぎると山頂だ。月山神社に参拝してから、開けた場所に腰を下ろした。
山頂には白衣の巡礼団体もいて、ここが信仰の山だということを思い出させてくれる。
晴れやかで有難い良い山だ。
麓のスキー場も早朝にはひと気が無かったが、下山時にはスキー客でいっぱいだった。GWなので遠征組もいるのだろうが、一見したところ近隣からの人が多そうだ。子供たちが楽しそうにスキーに興じている。
東北の山にはアルプスとはまた違った魅力がある。それは、こうした地元の人々の想いの積み重ねに触れるからであろう。
2024年5月