ラッセル&踏み抜き雲取山
やっとのことで稜線に出たときは、コースタイムを大幅にオーバーしてすでに昼を回っていた。本来なら山頂に到達しているはずの時間だ。
歩き始めはトレースもあり雪も締まっていたのだが、しだいに雪質は緩んできて、七ツ石の巻き道では完全にトレースが消えてしまった。
腰から胸まで雪に埋もれつつ、のろのろとラッセルして進み、稜線に出るまでに、すっかり時間と体力を使い果たしてしまった。
このまま山頂を目指すと、帰り道の途中で日没を向かえることになる。無難にいくならここで、またはほんの少しだけ稜線歩きを楽しんで、引き返すべきであることはじゅうぶんわかっている。
が、しかし、この稜線を歩くためにここまで登ってきたのだ。
それに、天気はよく風もなく暖かい。
年末に笠取山の山頂手前で引き返したことも、まだちょっと心に引っかかっている。
よし、今回は行こう。山頂まで。
稜線では何人かの方とすれ違った。みなさん時間切れで、山頂はあきらめて戻ってきたそうだ。でもいいのだ。今回は行くのだ。山で大切なものはただひとつ、自分で考える力だ。
進むにつれて雪は深くなり、気温の上昇で踏み抜きも多発する。
14時30分、雲取山頂に到達。雪がなければ下山してる時間である。
あとは来た道をもどるだけ。
しだいに日が傾いてくる。
夕暮れの光はとてもとてもきれいで、日が沈むまでずっと眺めていたいけど、さすがにそうもいかない。
美しい稜線とはさよならして、樹林帯を下ります。
ほどなく日没。
月明かりの登山道を二時間歩いて下山しました。
2014年2月