ぐんまのおやま 2 – 赤久縄山

長野県の30座、山梨県の12座に次ぐ、11座の百名山を有する群馬県。
長野や山梨ほど一般的には認識されてないが、群馬も立派な山岳県なのだ。

3000m峰の居並ぶ長野山梨とは違って、群馬県最高峰は標高2587mの日光白根山、次に高いのは2568mの浅間山である。2000m以上の山は20もなく、谷川岳や赤城山は2000m以下である。

標高のそれほど高くない山々が、比較的独立して存在している、それが群馬の山のイメージだ。はるかなる山域の山深い地というよりは、集落に近い親しみのある山が多い。

集落に近く標高も高くはないので、あちこちに林道が通じている。谷筋だけでは不便なので、峠越えの道も必要なのだろう。

これは登山的な見地からは、良くもあれば悪くもある。車で峠まで行けてしまうので山頂までの距離は短くてすむ。林道で分断されていることもあり、あまり縦走路は発達していない。そもそも地元の人には縦走という思考はないかもしれない。山は、登るとしてもその山頂へ登るものだから。

群馬の低山には魅力的な山がたくさんあるが、短時間で山頂まで登れてしまい、登ったらそこでお終いという山も多く、いまひとつ足が向かない理由でもあった。しかし裏を返せば、のんびりと静かな山歩きを楽しめるとも言える。ちょっとした時間で日帰りもできる。この赤久縄山も、そんな山のひとつだ。

あくせく歩かず山に親しむ。そんな時間があっていい。

2019年5月