登山の翌日にちょっとだけ山に登ってから帰宅する話 – 戸神山 / 高王山

平ヶ岳登山を終えての帰り道、すっかり遅くなってしまい、夜も更けてきた。疲れてきたしもう運転もしたくないので、ちょうど通りかかった道の駅で朝まで眠った。

翌朝、このまま帰っても午前中に家に着いてしまう。特に用事もないので、どこか登ることにした。スマホを取り出して帰り道沿いの山を調べる。まったく便利な世の中になったものだ。山の情報なんて紙媒体でしか得られなかった時代とは隔世の感を禁じ得ない。

そうして選んだのが戸神山であった。幹線道路から離れていないし、標高も低いので手頃な時間で登れるだろう。それに展望も悪くなさそうだ。

登山口から少し離れた発知ふれあい広場に車を停めて歩き始めた。駐車場情報もスマホですぐに探し出せる。まったく便利な世の中になったものだ。

急いで登ったわけではないが、車を停めた場所からは50分、登山口からは30分で山頂に着いてしまった。

山頂からは周囲の山々がぐるりと見渡せた。

目の前には小野子山、浅間に赤城に武尊も見える。なかなか良いところだ。願わくば快晴の日に再訪したい。

お手軽な山に登りに来たのだが、これで下山してはあまりにお手軽過ぎるので、隣の山まで歩くことにした。予定を変更して縦走しようとしたら、すぐにルートが検索できる。まったく便利な世の中になったものだ。

山中にはそこここに熊よけ用のフライパンがかけられていた。こんな小さな山なのに熊が出るのだろうか。いちおう念のため、これも備え付けの太めの木の棒でフライパンを叩いて、カンカンカンと甲高い音を響かせてから通過した。

縦走路を30分ほど歩いて高王山に到着した。「たかおうさん」ではなく「たかおさん」と読むらしい。

ここにはかつて山城があったというが、いまでは山頂は電波塔に占領されていた。

低山なので道が錯綜していて、どうやら地形図にはない道を通って下山したようだ。予定とは少し離れたところに出てしまったが大差はない。あとは、田舎道をのんびり歩いて駐車場までもどるだけだ。ちなみに地形図もスマホで見れる。まったく便利な世の中になったものだ。

さてさて、このまま帰っても昼過ぎには家に着いてしまう。寄り道して昼ごはんを食べていこう。帰り道のどこかに良さそうな店はないかな、とスマホを取り出して検索してみる。

まったく便利な世の中になったものだ…。

2020年10月