緑の湿原、流れる沢 – 入笠山
緑の湿原が、やさしい風にゆれていた。
あぁ、夏はこんな風景だったんだ。そういえば「入笠湿原」って大きな看板もあるもんな。
真冬の、雪の降り積もった見渡す限り真っ白な世界から、生命の蠢く緑の夏山へ。
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信じる力 – 奥甘利山
左膝の内側の筋だか骨だか関節だかに、昨年の夏から違和感があった。それがここにきて、ひどく痛むようになってしまった。最近のハードな山で酷使したせいだろう。痛みはどんどんひどくなり、普通に歩くのもままならないほどである。いや、自分では普通 ...
Mountain Addicted – 笊ヶ岳
朝が来た。小笊の上の富士山が雲の海に浮かんでいる。日の光に照らされて世界が黄金色に輝く。振り返ると悪沢、赤石、聖に上河内がほのかに紅く色づいている。
この山頂にひとりきり。昨日の夕景も、今日の日の出も独り占め。ここまで苦労 ...
神々の住処への困難な道のり – 甘利山 / 千頭星山 / 鳳凰三山
進まない…。
踏み出した足を雪の上にそっと置き、ゆっくり体重を移動していく。後ろにあった重心が前がかりになり、姿勢が前傾になると突然、勢いよく太ももまで踏み抜いてしまう。足を引き抜こうともがくが、いっこうに抜けないどころか ...
This is it – 甲斐駒ヶ岳 / 仙丈ヶ岳
静かだ。テントもまだ三張りしかない。真夏の大混雑とはえらい違いだ。
仙流荘からのバスが北沢峠まで行く最後の週末。すでに広河原からのバスはない。小屋も一週間前に営業を終えている。この週末が、静かな南アルプスをお手軽に満喫でき ...
機械の道と獣の道 – 北岳 / 小太郎山
登山口から二時間ほど登り、御池のほとりにテントを設営したら、もうやることはなくなった。見上げる青空には北岳の頂が輝いている。
行くか、あそこまで。こんなに天気いいんだしな。
簡単な荷物と弁当だけ持って、八本歯の ...
想いの詰まった南アルプスの稜線 – 白峰南嶺
午前3時。
夜が明けるまで、まだ2時間近くあるが、もぞもぞと起き出してテントから顔を出し、西の空に目をやる。
黒々とした山脈と、その上に広がる少しだけ色の薄くなった黒い空。その境目に、稜線はくっきりと山の形を縁 ...
愛と悲しみの甲斐駒ヶ岳
「えー、わたしに登れるかな〜?」
先週の会津駒で積年の恨みを晴らしたM子先生の、新M子先生としての最初の山は甲斐駒ヶ岳と決まりました。駒ヶ岳つながり…というわけではなく、天気予報の都合でです。
「甲斐駒なんて登 ...
登山は想像力、そして行動力 – 鋸岳
ついにここまで来た。
中ノ川乗越の向こうに見えるのが鋸岳第二高点だ。
急なガレ沢が岩山の上へと続いている。
あれ、登れるのか?
ここまでもそれほど楽ではなかったが、ここから先はもっと楽ではな ...
あの頂きの、その先へ – 甲斐駒ヶ岳
一年ぶりの甲斐駒ヶ岳。
ここ数年ずっと、この時期に甲斐駒に登っている。
昨年は日向八丁尾根から、一昨年は黒戸尾根から、その前の年は北沢峠から。
そのどれもが、甲斐駒が目的で甲斐駒を目指して登ってきた。 ...