島根の練り物 – あご野焼き / 赤てん
九州から北陸にかけての日本海側では、トビウオのことを「あご」と言う。「あごだし」の「あご」だ。あごは鮮魚として食べるより、焼きあごやあご干しに加工して出汁の材料としたり、すり身で練り物を作ることが多い。
島根を代表するあご製品は「あご野焼き」だ。あごのすり身を竹に巻き付けて焼いた、言ってみればトビウオの焼きちくわである。うっすら灰色がかっていて、みっしり詰まっていて、普通のちくわよりも野趣に富む。
あご野焼きが松江を中心とした島根東部の練り物だとすると、西部の練り物は浜田市の「赤てん」だ。
魚のすり身にパン粉を付けて揚げているのはお魚コロッケやフィッシュカツと同様なのだが、赤てんはその名の通り赤色もしくはピンク色をしている。名古屋の赤棒を思わせる鮮やかさだ。赤てんには唐辛子が練り込まれていてピリ辛なのだが、色はさすがに唐辛子由来ではなく着色料だ。
ふと思い出しだが、そういえば10年以上前に島根を旅行した時にもあご野焼きと赤てんを買って帰った気がする。練り物製品が特別好きというわけではない。ほんとは珍しい鮮魚などを買って帰りたいところだが、さすがに丸一日持ち歩くのも帰宅してすぐに調理しなければならないのも避けたいので、どうしても加工品が多くなってしまう。
でもまあ、スーパーで適当に買って帰る土産としてはちょうどいい。