資さんうどんの愛を語る

資さんうどんは、九州うどんチェーン店界隈で牧のうどんと人気を二分する(ウエスト派のみなさん、すいません)。最近は、すかいらーくホールディングスによる買収からの関東進出でも大いに盛り上がっているようだ。私自身は圧倒的に牧のうどんを愛する者ではあるが、資さんうどんにも資さんうどんの良さがある、はずだ。これは、牧のうどんラバーが語る資さんうどんの良さについての記事である。けっしてdisではない。

資さんうどんのフラッグシップは肉ごぼ天うどんだ。これは奇しくも私の愛する牧のうどんの肉ごぼううどんと符合する。

資さんうどんの肉ごぼ天うどんと牧のうどんの肉ごぼううどん、同じ食べ物であるはずなのに、一見してまったく違うとわかる。資さんうどんの肉ごぼ天うどんは、とにかくごぼ天が際立って目立つ。このごぼ天はまちがいなくごぼうだ。見たまんまごぼうだ。聳える棒状のごぼ天はポリポリと歯触りよく、ごぼうを食べてるんだなあと実感する。ごぼう感がまったく無くて、できそこないのミニミニアメリカンドッグのような牧のうどんのごぼう天とは完全に別物だ。

うどん自体もまったく違う。やわやわでふわふわでふにゃふにゃな、うどんに似た未知の物質をうどんと言い張る牧のうどんに対して、資さんうどんは普通にうどんだ。いやまあ九州のうどんだから普通よりはやわらかいのだけど、やわらかすぎることもなく適度にコシもあり、普通のうどんの範疇にいちおう収まっている。出汁にはわずかな甘味があって、昆布とかつお節がギンギンにキマった牧のうどんの出汁よりも親しみやすいと感じる人も少なくないだろう。

牧のうどんのようなネギや出汁の入れ放題こそないものの、資さんうどんでは、てんかすととろろ昆布が入れ放題だ。なんと気前がいいのだろう。かけうどんを注文しても、たぬきうどんやとろろ昆布うどんにできてしまうのだ。

資さんうどんはサイドメニューも充実している。なんといっても一番人気はおでんだが、その他にも唐揚げやとり天、トンカツなどなど一品料理も充実している。

ぼた餅も人気メニューのひとつだが、ぼた餅以外にもわらび餅やきなこ餅も用意されている。おにぎりはプレーンの他に、かしわ、しそ、明太子がラインナップに入り、いなり寿司や巻き寿司もある。とにかくバラエティに富んでいるのだ。うどん(そばも一応ある)の他は、かしわご飯、いなり、白おにぎりだけの牧のうどんとは実に対照的である。

資さんうどんには丼物だってある。カツ丼、天丼、親子丼といった定番から、鶏天とじ丼、牛とじ丼などの変化球まで備えている。カレーだってある。焼きうどんもある。朝定食もやっている。もう至れり尽くせりなのだ。

独特すぎる上にも独特すぎるオリジナルのうどん一本で勝負する牧のうどんは、ある意味食べる人を選ぶうどんかもしれない。好きな人はたまらなく好きだが、そうでない人にはまったく刺さらない。

頑なに九州北西部から出ようとしない牧のうどんに対して、資さんうどんはいまや全国展開への足がかりを構築中である。あらゆる人がそれなりに満足できるメニューを提供しようと努める資さんうどんは、言わばうどん界のトヨタである。対する牧のうどんは独自路線を突き進み、ついて来れる人だけがついて来ればいいというスタンスだ。そんな牧のうどんを車に例えるとしたらフェラーリだろうか。

フェラーリとトヨタ、一見するとフェラーリが高級でトヨタは庶民的とも取られかねないが、決してそういう意図のもとでの発言ではない。仮にもし、あなたがフェラーリとトヨタのどちらか一台をタダでもらえるとしたら、ただし転売不可で自家用車として使用する条件付きだったらどうするだろう。

私自身は迷いなくフェラーリを選ぶ人でありたいとは思うが、いやしかしちょっと待てよ。フェラーリで登山口までの林道を走ると車台を激しくぶつけそうだ。車中泊も苦しいだろう。燃費も悪くて維持費もかかるし、すぐに故障して動かなくなるような気もする。盗難も心配だ。車両保険に入っておいたほうがいいかもしれない。

それでもフェラーリ!となるのは、用途の限られた一部の人だけではないだろうか。フェラーリは確かに欲しいけど、実際に使うならトヨタだよな…となるのではないだろうか。

80点の商品を万人に届けるトヨタと資さんうどんは、実に困難で有意義で尊い仕事を続けているのである。

2025年1月