歩く地獄、真夏の飯豊山 Day2&Day3
二日目の朝、夜明け前から行動する。
荷物が軽いと体が楽だ。早朝の気温は清々しいとは言い難いが、まだ凶悪ではない。
本山への登りを快調に登っていく。
1時間半で本山小屋のテントサイトを通過した。ほんとは昨日ここまで登ってくる予定だったんだよな。でもまあ、ここまでの登りを、昨日のあの状態で登るのは無理だった。
本山小屋を過ぎると、山頂はもうすぐそこにある。
ここから飯豊山脈のメイン稜線が始まる。緩やかな起伏を描いた緑の稜線はどこまでも美しい。
この道をどこまでも歩いて行きたい。そんな気持ちになる。
今回はピストンなので、今日は行けるところまで行って、切合小屋へもどる。
麗しい稜線に一歩踏み出した。
実は、本山への登りの途中でカメラを落下させてしまい、それがちょうど岩稜地帯だったため、レンズが真っ二つに折れてしまった。なので、飯豊縦走の写真は初日が一眼レフで、二日目からはスマホである。
軽荷で快調に登っていたつもりだったが、やはり昨日の疲れが残っていたのだろう。集中力がまったく足りずにボーッとしていた。
緩やかでたおやかな緑の尾根をゆっくり進む。雲が多く快晴とはいかないが、おかげで直射日光の攻撃はいくぶん和らいでいる。
御西小屋を過ぎて、大日岳へ向かった。
足が重くて進みは遅い。昨日のダメージからは回復していない。
ときおりガスにまかれるが、ガスが切れると青空がのぞく。
大日岳で折り返した。
来た道をもどり、再び御西小屋を過ぎて本山へ。
急峻なダイクラ尾根が麓へ伸びている。ここを登って山頂に至るのも楽しいだろうと思うものの、昨日の天候ではほんとにしんどいだろう。
のんびりと切合小屋まで下った。
三日目は下山するだけである。
朝は霧が濃くて視界がほとんど無かったが、出発する時には飯豊本山が姿を現してくれた。いつも最後に山は姿を見せてくれる。
また来なよと言われている気がした。
天気は良くなった。つまり暑い。荷物も重い。
三国小屋まではいくつかの小ピークを越えなければならない。初日ほどのヘタレ具合ではないが、やはりダメージは大きく残っている。身体は重く足が上がらない。
標高が下がり樹林帯に入ると、風通しが悪く蒸し暑くなる。
汗をダラダラ流して、亀の歩みで下山した。
下山口の手前の秡川山荘の水場で、冷たい水を頭から浴び、思う存分に飲んだ。
2023年8月