繋がる山々 – アサヨ峰 / 地蔵岳

北沢峠から仙水峠に登り、そこからはいつもと反対側へ向かう。みなの行き先は甲斐駒だから、こちらへ上がってくる人はいない。

栗沢山に着くと、北沢峠から直接登ってきた多くの登山者が休んでいた。昨年CMの撮影地になってから、急に人気になったようだ。どうやら、ここだけを目的地にしてきた人もけっこういるようだった。

栗沢山からさらに先へ。ハイマツの稜線を歩いてアサヨ峰へと登る。

先ほどの栗沢山もそうだったが、アサヨ峰もやたらと虫が飛んでいる。深呼吸したら吸い込みそうなくらいだ。人のいる山頂に集まってきたのだろうか。気にしてもしょうがないので、みな気にせず昼ごはんを食べている。

これで、深南部を除いて、南アルプスの主な山はいちおうだいたい登ったことになる。登るだけなら北沢峠からピストンすればいいのだが、それでは味気ないのでさらに先へと進む。

蒸し暑い樹林帯を黙々と歩いて早川小屋に到着した。一日目はここまで。

ここもやたらと虫が多い。まあ、そういう季節なのでしょう。

翌日、日の出とともに行動開始。早川尾根を歩いて、地蔵岳を目指す。

地味な早川尾根は、地味にアップダウンがあって、じわじわと体力を消耗する。ずっと樹林帯で、ただただ淡々と歩くほかない。

何度目かの登り返しを登ると、稜線の先にオベリスクが見えた。

あそこだ。あそこまで行けば尾根が繋がる。甲斐駒から鳳凰までの道が繋がる。

山に登るなら、ただピークを踏んでもどってくるのでなく、山と山との間もすべて繋がってないと気がすまない。稜線へ上がるルートも、どれも登ってみたくなる。だから登っても登っても、登るところに終わりがない。山頂ピストンだけじゃ満足できないからしかたない。まあ、そのおかげで、思いもしなかった風景に出会えることもあるのだから良しとしよう。うんざりするほど疲れるだけってことも往々にしてあるが、それもそれでまた楽しい。

高嶺を超え、縦走路から地蔵岳への分岐に到着した。これでいちおう甲斐駒から鳳凰までが繋がった。

せっかくなので地蔵岳までは行く。分岐で終わるのは中途半端で気持ち悪いから。

何度目かのオベリスク。今年は二回目だな。

このまま夜叉神まで歩いて帰るのも悪くはないが、一日で歩き切って、自宅まで運転して、明日から仕事ってのもなかなかたいへんだ。行きたい気持ちもあったけど、この先はまたにして来た道を引き返す。ここまでで今回の目的は達成したわけだし。

再び高嶺を超え、白鳳峠からは正面に北岳を眺めつつ広河原へと下山した。

帰宅後、壁に貼ってある南アルプスの地図に、いままで歩いたルートを赤ペンで記入してみた。こうして見ると、まだまだ繋がってない部分がたくさんある。歩くところは当分なくなりそうもない。