まるで修行のような一日 – 経ヶ岳 / 多良岳

修行だ。これは修行だ。薄暗い樹林帯の急登がいつまでも続く。疲れるばかりで楽しみが無い。

長崎最後の一日は多良岳に登ることにした。山頂ピストンじゃつまらないので、黒木集落から経ヶ岳に登り、稜線を縦走して周回下山する。

日本三百名山の多良岳へ向かうルートとは違って、経ヶ岳へ登るこのルートは人気が無さそうだ。登山口の駐車場には車が一台も停まってなかった。まあ、こんな修行ルートではしかたあるまい。

尾根に乗っても代わり映えのしない樹林帯が続く。

黙々と登っていると、不意に視界が開けた。経ヶ岳山頂に到着だ。稜線の先に見えるのが多良岳だろう。そちらへ向かって進んで行く。

経ヶ岳からは、雪の着いた難儀な岩場を100mも下らねばならない。落ちないよう慎重に緊張して降りる。

そして下り切ったところで道を間違えてることに気づいた。せっかく下ったのに登り返しかよ。やれやれ…。

ついさっき緊張して下った岩場をこんどは登る。岩場を登り切った先に多良岳方面へ向かう分岐があった。気づかずに通り過ぎてたようだ。

こちら側は日が当たるので雪は無く、岩場も無いが急な斜面を下っていき、しばらく進むと先ほどの岩場の下からの道と合流した。あちらからでも多良岳方面へは行けて、結局は合流するのであった。やれやれ、ずいぶん時間を浪費してしまったな。

そこからは稜線の樹林帯を黙々と進み、予定よりずいぶん遅れて多良岳への登り地点に到着した。

九州で山登りしてると驚くことのひとつが、地元の人たちの登り始め時間の遅さである。夜明け直後から登る人なんてまずいない。だいたいみんな朝起きて朝ごはん食べてから家を出るみたいな時間にやって来る。この時も、これから縦走路へ向かうグループがいた。

石段を登っていき、その先のやや荒れた登山道を登ると多良岳の山頂に到着した。

山頂には、太良嶽神社上宮の大きな祠があった。

前岳まで行こうと思っていたが、大きく下って大きく登り返すのを目にして気力が萎えてしまった。なにかと疲れたのでここまでにしておこう。

帰り道に国見岳に立ち寄り、金泉寺経由で下山した。

後から知ったところによると、太良嶽神社上宮のある山頂に国見岳と前岳を合わせて、三つのピークで多良岳とするらしい。

やっぱり前岳にも登っておけばよかった。また行かなくちゃ。

2023年1月