骨付鳥をもう一度

何年も前のことだが、高松市内の繁華街を酔っぱらってうろうろ歩いていると「骨付鳥」という文字がやたらと目に付いたことがあった。あちこちのお店で看板やポスター、幟などで「骨付鳥」をアピールしていた。

骨付鳥ってなんだろう?いや、骨付きの鳥肉なんだろうけど、どんな料理なんだろう。どの店でも大々的に打ち出すほど流行ってるのだろうか?

適当なお店に入って、その骨付鳥とやらを食べてみた。その名の通り骨付きの鳥モモ肉が一本、楕円形の皿に盛られて出てきた。だいぶ酔いが回っていたので味の記憶は定かではないが、塩っぱくて油っこかったと覚えている。

それから数年、骨付鳥というのは香川県で人気の食べ物で、発祥の店は丸亀にあると知った。

今回、その発祥のお店で骨付鳥に再挑戦することにした。といっても本店は長蛇の列ができていたので、近隣にある支店へ向かった。本店は外から見る限り駅前の小さな飲み屋のような店構えだったが、市内に2店舗ある支店はどちらも広い駐車場を備えた郊外型の大箱で、いまどきの清潔感あふれる内外装であった。まあ、出てくる料理は本店と大差ないであろう。

骨付鳥には「ひな」と「おや」の二種類がある。若鳥と親鳥だ。お店の人に伺ったところ、柔らかい「ひな」の方が本数では多く出るが、お酒を飲む人には「おや」も人気であるという。私は、肉は適度に硬いほうが美味しいと信じているので「おや」一択である。お酒も飲むし。

骨付鳥の骨を持ち、齧り付く。しょ、塩っぱい…。頭がキーンとなるほど塩が効いている。ニンニクの香りもするが、とにかく塩味だ。おやは旨味のある肉質だと思うが、とにかく塩味である。そして驚くほど脂が多い。黄色い脂が皿に溜まっている。いったいどういう調理法なんだろう。別に注文した鶏皮ポン酢は、揚げた鶏皮の脂をきっちり切ってあったので、これは狙ってやっているに違いない。

ビールのお供にするには強烈である。付け合わせに生のキャベツが出てくるが、それでは追いつかない。どんぶりご飯のおかずにするのが最適な食べ方であろう。骨付鳥一本で、どんぶりご飯三杯はいける。

酔ってきたので調子に乗って「ひな」もたのんでしまった。確かに「おや」よりもずっと柔らかくてふっくらしている。そして「おや」同様に塩っぱくて脂まみれだ。やはり頭がキーンとする。いったいどれくらいの塩分濃度なのだろう。

次に骨付鳥を食べる機会があれば、まずは薄味にできるか尋ねてみようと思う。

この骨付鳥発祥のお店、四国以外にも横浜と大阪に店舗があるそうなので、興味のある方は是非どうぞ。