尾瀬の魔法

夏がくーればチャララララ〜〜♬

尾瀬ヶ原の雪も解け、ようやく冬が終わり春が始まったこの季節。雪解け後の泥々の地面から、蕗のとうやら水芭蕉やら春が息吹き始めたところです。

白い炎のようにちっちゃくゆらめく水芭蕉の花たちが、水のほとりで静かに笑っています。わざわざ探さなくても、いくらでも目につきます。

尾瀬ヶ原に春の訪れを告げる水芭蕉ですが、あの有名な尾瀬の歌では、夏が来ると思い出す花として歌われています。これずっと疑問だったのです。夏が来てから思い出してちゃ、花の季節にまにあわないだろって。

どうもこれ、作詞者が適当に作った説があるようです。作詞者の出身地では水芭蕉は夏に咲いていたとかで、まるっきりの適当ではないかもですが、この詩を作った時には、尾瀬には行ったことがなかったともいいます。やっぱ適当ですよね…。

そんな適当に作詞された歌が、尾瀬といえばこれ!というほど定着していて、みなが疑い無く口ずさんでいるのです。夏が来れば思い出す…と。この歌のイメージで夏の尾瀬に来て、水芭蕉咲いてないやん!!と突っ込んだ人も少なくないと思われます(わたくしがそうでした…)

日の光に照らされて明るく光る白い水芭蕉。空は紺碧。この季節にしては珍しく、空気も透明です。

目指す先には燧ヶ岳。振り返れば至仏山。尾瀬を代表する二つの山もすっきり聳えています。

やっぱこれが見えなくちゃ。霧の尾瀬も悪くはないけど、たまにでいいよね。

気持ちいい青空の下、気持ちよく木道を歩いていきます。特にどこを目指すでもなく、ただ気の向くままに歩いていきます。

いちおう見晴しまでは行くつもりですが、見晴しまで行って帰ってくるだけなら、午前中に鳩待峠までもどってきてしまいます。まあ、尾瀬はそういう場所ではありません。ガツガツ歩かず、ゆっくりのんびり立ち止まり、大きく空気を吸い込んで、写真を撮りながら歩きます。

今回は至仏山にも燧ヶ岳にも登りません。平坦な木道を歩くだけです。山に登るのは、それがたとえ低山であっても、がんばる気持ちがどこかに必要です。厳しい山だと、負けてしまいそうになる心に打ち勝って登らなければならないこともあります。

でも、尾瀬ではそんなものはいりません。ただ気持ちよくぶらぶら歩いていればいい。それだけでじゅうぶん。見渡せば大きな山々。足元にはたくさんの花々。

気負いもなく無理もなく、ただ浸っていればいい。そうしているとすぐに、日常の雑事なんてどうでもよくなり、心が軽やかになっていきます。他の場所では、なかなかこうはいきません。

これが、尾瀬だけにある特別の魔法。

尾瀬

Posted by azuwasa