雁ヶ腹摺三兄弟 – 笹子雁ヶ腹摺山

南大菩薩には、雁ヶ腹摺と名付けられた山が三つあります。

雁ヶ腹摺山、牛奥ノ雁ヶ腹摺山、そして笹子雁ヶ腹摺山。
牛奥、笹子というのは、元祖雁ヶ腹摺山と区別するための麓の地名で、どれもが雁が腹を摺る山であります。

雁は山を越えて飛ぶとき、腹を摺るほど低く飛び、あるいは足を着き歩いて超えるといいます。雁が腹を摺るほど低く飛んで超える山、それがこの雁ヶ腹摺山というちょっと変わった山名の由来です。

とはいえ雁は、山頂を飛び越えるわけではありません。腹を摺るほどの低空飛行で山越えし、体力を温存する雁です。そんなにバカではありません。

山越えするのは当然、周囲で最も低いところ。つまり人と同様に峠越えするのです。雁ヶ腹摺山だと大峠、笹子雁ヶ腹摺山なら笹子峠を越えたのでしょう。
牛奥ノ雁ヶ腹摺山はどこで山越えしたのかな。湯ノ沢峠だと離れ過ぎてるので、山頂と川胡桃沢ノ頭の間の鞍部の笹原あたりでしょうか。

雁ヶ腹摺三兄弟は、いずれも秀麗富嶽十二景に選定されています。山頂からは雄大な富士山を望むこともでき、登って楽しい山でもあります。

この雁ヶ腹摺三兄弟の末弟、まだ登ったことのない笹子雁ヶ腹摺山に登ってきました。

今回の笹子雁ヶ腹摺山で、雁ヶ腹摺コンプリートだと思ってましたが、実はもうひとつ日影雁ヶ腹摺山というのがあるらしいです。

笹子雁ヶ腹摺山の北西方向の低山で、元々は岩崎山と呼ばれていたのを、日影雁ヶ腹摺山と改めて名付けたようです。
日影雁ヶ腹摺山は低山群の中の一峰で、さらに奥にはより標高の高い山々もあり、ここで山越えといわれても???という感じではあります。

地形図には山名が記載されておらず、登山道もありませんが、どうやら登れるようでもあります。

さて、どんな山なのか。
雁ヶ腹摺マニアとしては、ぜひ登ってみなくてはと思っております。