玉子とうふ、茶わんむし、赤飯

玉子とうふに茶わんむしに赤飯、それのどこが郷土料理?と思うかもしれない。

自分がいつも食べているのと同じ物を全国どこでも食べているとなんとなく思いがちだが、日本は広いそして多様だ。名物と言われるようなものではなく、ありふれた日常の食べ物が意外な食べられ方をしていると驚きはより大きくなる。例えば冷やし中華がマヨネーズ入りだったり、刺身を甘い醤油で食べたり、トマトに砂糖がかかっていたりしたときのように。

津軽では玉子とうふも茶わんむしも赤飯も独特なのだ。

まずは玉子とうふから。一見してわかる、具入りだ。鶏肉、タケノコ、シイタケなどが入っている。出汁が濃く、砂糖入りでうすら甘い。タレは付属してなく、味は付いているのでこのまま食べるようだ。

どこのスーパーでも売ってるのはこのタイプの玉子とうふだった。青森では玉子とうふというのは具入りでうすら甘いのが普通のようだ。

玉子とうふが具入りなら、それって茶わんむしとどう違うの?と思うかもしれない。同じである。冬は玉子とうふを温めて食べるというのだから、なおさらである。四角が丸になっただけだ。食べてみると茶わんむしのほうが旨味も甘味もやや濃いように感じたが、ほぼ同じである。

具は鶏肉にタケノコにシイタケにと、玉子とうふと同じである。唯一違うのが銀杏が入ってるとこだなと思い口に入れると銀杏ではなく栗だった。茶わんむしに栗!しかも甘露煮だ。甘い。津軽の茶わんむしは栗の甘露煮入りであった。

ただ、甘いといっても、現代的な旨味をカンストして塩味と甘味もそれに合わせてマシマシの濃い味ではなく、ほどよく上品でうすら甘い。古き良き昭和の家庭の味だった。

青森では赤飯も甘い。玉子とうふや茶わんむしみたいに出汁が入ってるわけではないのでストレートに甘い。お菓子的であるともいえる。知らずに食べるとびっくりするかもしれない。なにせ主食が甘いのだから。

だがこれも先入観を取り払って、こういうものだと思って食べるとなかなかいける。濃い味のおかずと食べても良いし、料理の合間に口直し的に少しづつ食べても良い。

津軽の食べ物は全体的にいろいろ甘いようだが、くどい甘さではなく、どぎつく濃い味でもなく、都会では廃れてしまった古き良き上品な味付けが今でも残っているように感じた。