家から歩いて多摩100山 part2 – 浅間山
昨日に続いて二日連続の散歩である。暇なのだ。自粛期間中なので不要不急に出かけることも憚られ、ひたすら配信サービスを見ていたが、飽きてきたのだ。
自宅のある丘陵地から平野部へ降り、昨日とは別の沢を下っていく。徒歩移動だと地形に従って効率的に進もうとするので、登山と同様なルート取りになる。
大きな河を渡った。それにしても平坦だ。
あまりに暑くて、ついうっかりコンビニでビールを買ってしまった。おなかも減ったので、開いてるお店でカレーを食べた。お金を出せばたいていのことは解決するのが、山と町との違いである。
平坦な平野を3時間歩いて、ようやく登山口に着いた。山より疲れた気がする。
住宅地にある公園だが、これを山だと思って見ると、見えてくるものもある。
ここには三つのピークがあり、その間は尾根道でも巻道でも縦走できる。巻道からピークへ直登もできる。トレイルは縦横に張り巡らされていて、周回も容易だ。
三つのピークの最高峰が浅間山だ。「あさまやま」ではない、「せんげんやま」と読む。山頂の中央に小さな円形古墳があり、その上に浅間神社の祠があった。標高は79.6m。自宅より30m以上低い。
山頂周辺に群生して咲き誇るキンランとともに、立派なキスゲも咲いていた。案内板によると、これはムサシノキスゲという種で、この浅間山が唯一残った自生地だとのこと。世界でここにしか咲かない絶滅危惧種なのである。
カメラを持ってくればよかった。一眼レフを構えた人たちがうろうろしていたが、これが目当てだろう。スマホではあまり綺麗に撮れなかった。
10年以上前だが、この近くの営業所に勤めていた。何度も車で通過したが、園内に入ったのは初めてだ。いままでは、公園なんてどうせつまらないだろうと馬鹿にもしていた。
世界は無限に奥深い。意識の網の目を細かくして知覚の解像度を上げていけば、新たな風景が色鮮やかに立ち昇る。
世界が広がると同時に、己の幼さに気付くこともできたのだから、コロナ自粛も悪くない。
2020年5月