この道をどこまで行けば辿り着くのか 青空にひと筋ヒコーキ雲 – 御座山
整備されて歩きやすい登山道を登っていく。
周囲は木々が茂っていて、展望はほとんどない。
なんだかもやもやした気分なのは、登山道が少々退屈なせいだけではない。
もやもや…ちょっと違うな。
なんというか、もっとこう、もどかしいような切ないような…そんな気持ち。
前日、妙義山から下山して、町をぶらぶらしたり食事をしたりドライブしたりして夜を迎え、そのまま登山口で一夜を明かして、今日も山に登っている。
これからは山に登りまくるつもりだった。そして実際にそうしている。それがいま一番したいことだと思っていた。でも、どうやらそうではないのかもしれない。いや、そうだったはずなのに、そうじゃなくなってしまったようだ。
ひとつの季節が終わり、次の季節が始まった。でも、新しい季節は、想像してたのとは少々違うようである。
まったく人生ってやつは、いつでも予想の斜め上をいく。神様ってのがいるのなら、絶対にユーモアのあるやつだろう。
心の流れに逆らっても無意味なことは知っている。逆らうつもりもない。行き着く先はわからないけど、いまはこの流れに乗っていこう。
そのために必要なのは、心をオープンにすること、思考に囚われないこと、ものごとの良い面だけを見つめること、自然が与えてくれるサインに気づくこと、つまりはいつも通りに生きていくこと。
退屈な山道を三時間も歩くと、唐突に視界が開けた。
岩の稜線の先が御座山の山頂だ。
青空に周囲の山々が映えている。八ヶ岳に奥秩父、南アルプスに浅間山。霞んでてはっきりしないが、ここからなら北アルプスもよく見えるはずだ。
開放的で晴れやかで、すっきりした気持ちになる。
ここまで登ってきたからこそ見える景色であり、感じる心境である。
辿り着く先がどんな場所かは行ってみなくちゃわからない。
だからこそ、いまの一歩をひとつづつ歩いていこう。