Oh!Oh!Oh!Ohhh!! SHIMONITA!!
ひさしぶりに来た下仁田。
夕飯にはまだ早い時間なので、店が開くまで街をぶらぶら歩く。
もう何年も前だけど、群馬の山村を訪ねて回ってたころ、南牧村方面への玄関口が下仁田だった。
鉄道の終着駅にして山村への入口、奥多摩や武蔵五日市とどこか共通の雰囲気が下仁田にもある。
都会から向かえば下仁田は山への入口だが、山から下りてきたら、ここは物資の集積地、そして外の世界へつながる窓口でもある。
山村からもどってくると、下仁田は大都会だった。山の人々の目にも、まちがいなく下仁田は大都会に写っていただろう。碁盤の目状の道路には人や車が行き交い、住宅は密集し、商店も多い。
当時はそんなふうに感じていたのだが、ひさしぶりに来てみると、なんとものどかな街であった。
スーパーで流れるようなオルゴール音のBGMが街中にそっと流れていて、そのどこか寂しげな音が、街の風景とマッチしている。
奥多摩や武蔵五日市と街の規模はたいしてかわらないが、下仁田には古い建物が多い。古すぎて崩れそうな、もしくは廃墟になっているらしき建物も多い。
乾いた哀愁が漂う街だ。
街は寂れているが死んでるわけではない。
ぶらっと歩いただけでも、三軒の酒屋に十軒以上の飲食店、そして数軒の雑貨屋に肉屋や床屋も営業していた。大型店舗は生協とドラッグストアしかなく、コンビニもないので、まだまだ個人商店が健在なのかもしれない。
活気がある…とは言い難いが、歩いて楽しい町ではある。
昨年の年末ごろだったか、下仁田町が公開したPR動画をたまたま見たのが、ひさしぶりに下仁田に来てみようと思ったきっかけである。
動画の中の風景も、出演者のダンスも、流れる音楽も、なんともいえないダサさがあった。が、それがなんともいえない味でもあった。見覚えのあるなつかしい風景に心を動かされもした。
今年はあと何回か、ちょくちょくここに来ることになりそうだ。そのついでに、周辺の山を攻めてみるつもりである。
そして、なにもない町をぶらぶらするのを楽しみにしていようと思う。