ごはんだけ – 毛無山 / 御飯岳 / 破風山 / 土鍋山

「群馬県」「この先危険につき関係者以外立入禁止」の案内板で話題になったことのある毛無峠は、長野県と群馬県の県境にある。だが長野県側から林道を毛無峠まで登っても峠越えして群馬県に入ることはできない。なにせ群馬は危険につき立入禁止なのだから。

行き止まりの峠道であるが、ここから県境の尾根を歩くことができる。毛無峠も含めて、ぐんま県境稜線トレイルの一部にもなっている。

毛無峠のすぐ裏山が毛無山だ。その名の通り樹木の少ない禿げた山だ。

毛無峠の群馬側には1971年に閉山した硫黄鉱山があり、その影響で植物が育たない。閉山から50年以上が経過しても、未だ植生は回復していない。鉱山跡は毛無峠からも見える。大規模な斜面崩壊で多数の犠牲者を出したこともあり、危険につき立入禁止なのにも理由がある。

毛無山にも鉱山の遺構がある。物資運搬用ロープウェイの鉄塔だけが五本、荒廃した山に寂しく立ちすくんでいた。

30分も登れば山頂に着く。なかなか眺めが良い。草津周辺らしい穏やかな緑の風景が広がっている。

正面に見えるぽっかりした山が御飯岳だ。破線ルートだが意外としっかりした道を1時間半ほど歩くと山頂に着いた。

この御飯岳でぜひともやりたいことがあった。そのためにここまで来たと言ってもいい。

御飯岳でごはんだけの弁当を食べる。

このくだらないツイートが予想外にバズってしまい、通知が止まらなくなり、果てはYahoo!ニュースにも掲載されることになるのだが、それはまだ少し後の話。

ちなみに御飯岳は「ごはんだけ」と読むわけではない。正しい読み方が山頂標識に記されているが、ついうっかり弁当箱で隠れてしまったので読めなくなっている。

毛無峠までもどり、反対側の稜線を歩く。

急な斜面を30分登ると破風山の山頂だ。

ここもなかなか眺めが良い。先ほどまで歩いていた毛無山から御飯岳への稜線が美しい。

破風山からさらに30分で土鍋山に到着する。山名板の脇に土鍋ではないが峠の釜飯の釜が置いてあり、それをかかげて記念写真を撮っている登山者もいた。

くだらないことを考えて実行したどこかのだれかが残していった釜飯の釜なのだろう。こういう行為をくだらないと馬鹿にするのは簡単だが、くだらないことでも実行するのはそれはそれでたいへんだ。行動しない批判やインターネットの冷笑はすべてぶっ飛ばせばいい。行動は尊い、無条件でリスペクトする。その上でひとこと言わせてもらうなら、どうせなら土鍋を置いといてほしかった。

土鍋山の山名板がある場所を通り過ぎて少し進むと三角点のある小スペースに出る。地形図上ではどうやらここが本当の山頂らしい。平坦な縦走路の途中の樹林に囲まれた平坦地で、まったく山頂感はない。

縦走路はこの先も続き、4時間半で四阿山に至る。行って帰って9時間プラスだ。以前なら多少の無理をしてでも必ず行っただろうが、最近はそんなにガツガツ歩くのもどうかな?という気もしている。それよりはのんびりエンジョイいたい。

そういうわけで今回はここまで。峠まで車で登って稜線だけ歩くのは、なんだか美味しいとこだけつまみ食いしたみたいで少々気が引けるが、たまにはいいだろう。

サクッと下山して、なにか美味しいものでも食べよう。

2024年6月