山人漬け

日本一人口密度の低い市町村、特別豪雪地帯、平家の落人伝説、独自の言葉に独自の文化。現代では車で気軽に行ける檜枝岐も、かつては外の世界と隔絶された、まさに秘境と言っていい地であった。

標高900m以上の高地にあり周囲を高い山々で囲われているため、稲作に適さず蕎麦を主食としていた。食材は川魚、山菜、きのこといった山の恵みである。山仕事が主要な収入源であったが、尾瀬の観光開発に伴って観光業に転進する。そして山の恵みを用いた伝統的な食物を山人料理と名付けて提供するようになった。

そんな山人料理のひとつが山人漬けだ。シソ、ミョウガ、らっきょ、唐辛子を細かく刻んだ塩漬けである。元々は蕎麦の薬味だったが、今では冷奴に乗せたりパスタに混ぜたりと様々に使われている。

食べてみるとシソ感が強い、そして唐辛子がよく効いている。山里の食べ物らしく甘さは無い。

いまでも各家庭で作られ常備されているというが、土産屋で買い求めることもできる。