灼熱の林道で藪漕ぎ – 日暮山
集落に車を停めて、林道を登っていく。舗装の荒れた林道をしばらく登り、分岐からは未舗装になった。
夜中の雨も朝には上がり、青空が広がってきた。しかし気温は殺人的に高く、湿気も多くて不快指数は爆上がりだ。まだ早朝なのに、涼しさなどまったく感じられない。
林道は、登っていくにつれてさらに荒れてきた。雑草が繁茂して、林道なのにヤブコギ状態だ。
道はやがて草に呑まれ、踏み跡も見えない。穏やかな平地が広がっていて、どちらへ行ったらいいのかよくわからない。一般ルートだから大丈夫だろうと地形図を用意してこなかったのは失敗だった。
それらしい方向へ進んでいくが、ほんとにこれで正しいのか心許ない。なんだか下り始めてるような気もする。GPSで確認すると、だいぶズレてあらぬ方向へ向かっていた。もうちょっとで林道で遭難するところだった。
なんとなく林道の残骸っぽいところを探して進むと、やがて登山口を示す標識が現れた。
やれやれ、ここまででひと苦労だぜ。
吹き出す汗は止まらない、4リットル持ってきた水も、すでに半分近く消費してしまった。
虫も多く、体の周囲には絶えず複数の昆虫が飛び回っている。アブだかブヨだかヌカカだかにも何度も刺された。虫除けスプレーなんて気休めにもならない。まったくなんの役にも立っていない。
山頂まで急斜面の看板を過ぎると、本格的に急坂になった。急坂の直登だ。暑さで体力を削られた身にはつらい。汗で濡れたシャツが体に張り付く。
ふらふらになってたどり着いた日暮山の山頂は、樹木に囲まれたなんでもない小スペースだった。
苦労して登ってきてこれかよ。まあ、誰も登ってこない山なんて、だいたいこんなものだけどな。
山頂から先にも踏み跡があったので進んでみると、開けた場所に出た。これがこの日の初めての展望になる。
西上州の山々が見渡せる。ギザギザなのは妙義山だ。直射日光は暑くてかなわないが、なかなか良い眺めだ。
もうひと山登る予定だったが、暑さでそんな気分ではなくなったので時間は余っている。日差しが強いから、虫もあまり寄ってこない。じっとしてれば、それほど汗も流れない。ただジリジリと皮膚が焼けるだけだ。
しばらくゆっくりしてから下山しよう。
2022年7月