山居倉庫

酒田といえば山居倉庫、町の紹介で必ず取り上げられるので、川に面して倉庫の並ぶ写真を見たことのある人は多いだろう。映画やドラマ、CMの撮影にも使われている。

山居倉庫は、その名の通り倉庫である。明治26年に酒田米穀取引所の付属倉庫として建てられた、庄内米を保管するための倉庫だ。

中心街からやや離れた新井田川沿いにあり、酒田港にも最上川にも近く米の運搬や積出に適した立地である。

米の自由取引が停止され米穀取引所が廃止された後も、何度か所有者を変えながら米の倉庫として使用されてきた。

14棟のうちの12棟が現存し、そのうちの3棟は土産物屋や資料館に改装されているが、残りの9棟はJA全農山形の米倉庫として2022年まで現役だった。実に129年間もの長きに渡り米倉庫として使われてきたのだ。

現役を終えたのは、国の史跡指定を目指した酒田市が山居倉庫を買い取ったためだ。

思惑通り史跡に指定され、今後は整備して入場料を取るのだろうか。だが、そうなってしまえばもはや死んだ建築物である。

使用されていない建物なら史跡指定も観光開発もわかるが、実際に使用されているものを史跡にしてしまうのは、寂しいというかもったいないというか、なんともいえない気持ちになる。

何年か後に、山居倉庫はいったいどんな姿になっているのだろうか。

2024年5月