聖地巡礼 – 飯能アルプス
早朝の東飯能駅に降りたった。空気はひんやりと冷たい。ここからまずは天覧山へ向かうが、その前に立ち寄るところがある。
昨年末にようやくヤマノススメを手に取った。最初の2巻は登山入門書的な内容で読み進めるのがつらかったが、巻を追うごとに面白さは増していき、最新刊まで一気読みしてしまった。主人公たちの通う高校は飯能市内にある設定になっており、そのモデルになった学校も存在するらしい。漫画やアニメの聖地巡礼にはまったく興味はないが、ついでなので行ってみることにしたのだ。
早朝の学校を校門の外から覗き見してから、再び歩き出した。
中心街を抜けると、平地の先に天覧山が見えてくる。登山経験の無い女子高生が登るのにちょうど良さそうな小さな山だ。
舞台を飯能市にしたのも、ヤマノススメの成功の一因だと思う。街が自然と近く、かといって田舎過ぎるわけでもない。その自然も激しくなく穏やかだ。これがもし松本市だったら、ぜんぜん違った漫画になっていただろう。
登り始めたら、あっというまに山頂だった。まあ、標高197mだものな。
山頂からの眺めは良く、飯能市街が見渡せる。ここからの夜景は綺麗だろうなと思ったが、なんとこの山頂は日没から日の出まで立ち入り禁止らしい。よからぬことをする輩が多いせいだろう。
同じく飯能市内にあり、ヤマノススメにも登場する飯能河原も夜間立ち入り禁止だ。あまり無茶苦茶すると、どんどん規制されてしまうのでほどほどにしたい。この数年で、いくつもの無料キャンプ場が閉鎖されている。
天覧山から多峯主山へ行き、さらに天覚山へ向かった。
飯能市街から始まるこの山脈を飯能アルプスと呼ぶらしい。よくあるなんちゃってアルプスのひとつだ。こういったなんちゃってアルプスは、オフィシャルなものから勝手にそう呼んでるものまで合わせて全国に70以上あるらしい。ちなみに、なんちゃって富士山は400以上ある。なんちゃって銀座はいくつくらいあるのだろう。
距離はそこそこ長いが、平穏で退屈な山道だ。黙々と歩けるところが良い。上り基調でも、たいしてしんどくはない。
このまま歩き続けると伊豆ヶ岳を経由して武甲山まで行けるが、子ノ権現で終わりにした。
帰りは飯能駅まで電車でもどり、行ってみたかった飲み屋は満席で断られたので、聖地のひとつのケーキ屋さんに寄ってから帰った。
2022年6月