岩と花の長い路 – 十二ヶ岳 / 節刀ヶ岳 / 王岳 / 三方分山
久しぶりに、ちょっくら長い距離でも歩いてくるか。
朝ゆっくり出発して、午後の早い時間には下山してるってのが最近は続いてました。7〜8時間の山行ばかりしてると、一日中歩くのがかったるくなります。体力的にもだけど精神的にも。なので、弛んだ体と弛んだ心に喝を入れてこようかと。
夜明けから日没まで歩き続けるルートって、実はなかなか設定が難しいです。ちょうどよい距離で、歩いて楽しく、下山後に車の回収が可能なルート…。
ということで、今回は御坂山地の毛無山から十二ヶ岳、節刀ヶ岳、王岳、三方分山と歩いて本栖湖に下山することにしました。車は西湖の根場に停めておきます。 早朝から1時間の舗装路歩きがありますが、帰りは本栖湖から途中までバスでもどってこれるし、バス停から駐車場までは徒歩1時間弱です。
早朝の西湖湖畔からスタートしましたが、なんと寝坊してすでに30分遅れています。4時スタートの14時間歩いて午後6時のバスに乗る計算だったのですが…。まあいいか、30分くらいなら巻けるでしょう。
毛無山への登りはけっこう急登でした。
ひーひー言いつつ、ところどころに咲いているカイフウロやらママコナやらマルバハギやらを撮りながら登ります。
毛無山から十二ヶ岳へは、岩場鎖場ありのアップダウンのあるルートです。
この辺りではちょっとした嶮しい山として知られていますが、それよりもここは花がいっぱい。ひとつづつ写真に収めながら歩いていると、なかなか進みません。ピントや手ぶれや被写界深度が微妙なので、風景を撮るよりずっと時間がかかります。
十二ヶ岳から先、節刀ヶ岳も鬼ヶ岳も王岳も、お花いっぱいの登山道でした。
何度か歩いてる御坂山地ですが、ここが花の山だなんて知りませんでした。いままでは目に入っていても目に止まらなかったのですね。
人の目に見えるというのは不思議なもので、それは目という視覚器官が捉えた映像ではなく、心が感じる出来事なのです。
王岳到着は12時半でした。
予定より30分の遅れ。寝坊した30分がそのまま遅れになっています。花がいっぱい過ぎて、全くペースを上げられません。
ここから三方分山まで3時間、本栖湖まではさらに3時間。このまま行くと、6時のバスには間に合いません。まあ、しゃあない。バスに乗り遅れても、2時間半ほど歩けば駐車場までもどれます。
せっかく咲いてる花の写真を撮らずに歩き去るのも馬鹿馬鹿しいですし、ここで終わりにして下山すれば駐車場に降りれますが、まだまだ歩きたい気分なのです。
王岳から先は笹が多く、けっこうな藪こぎもありました。
こうなると花はほとんどありません。ときおりハンカイシオガマが咲いていたりマツムシソウの群落があったりしましたが、それ以外はずっと笹っぽい登山道を進みます。
三方分山到着は午後3時。30分巻きました。
これは…もしかしたらバスに乗れるかもしれません。10分休憩して、食料を補給し再出発。少し飛ばして歩きます。
パノラマ台までは、花がほとんどなく撮影で時間を使わなかったこともあって、かなり巻きで来ることができました。
もう、バスに間に合うのは間違いないので、ちょっと休憩し、ペースを落として下山します。
常に速く歩くことがいいことだとは思いませんが、いざという時にはペースアップできるだけの脚力は持っていたいものです。山で最も必要なものは体力、最も有用なものは時間ですからね。
で、本栖湖に下山したら、さらに30分巻いていたので、ちょうど来た17時半のバスに乗ることができました。
17時半にバスが来て、18時にバスが来て、その次の最終バスは20時過ぎってのは、なんとかならないのかとも思いますが、乗客はわたくしひとりっ切りでしたし、バスを運行してくれてるだけでもありがたいことですよね。
20分バスに揺られ、40分舗装路を歩いて、歩き始めから14時間後にスタート地点にもどりました。
一日で30キロ歩き、25種類の花の写真を撮りました。