I don’t care if it rains ♬ – 北高尾山稜

雨の日は山へ行かないですって!? そんなことはありません。
雨の日だって楽しめる…はずです。

雨のお山の楽しみ方をいろいろ考えてましたが、すごくいいこと思いつきました。

聞きたいですか? 雨のお山の楽しみ方。

雨でも楽しく登れれば、天気予報に一喜一憂しなくてもすみます。

いいでしょ。聞きたいでしょ。教えてあげてもいいんですよ。

では、発表します。

ドゥルルルルルルルル〜〜(ドラムロール)

(もったいぶってます)

雨のお山の楽しみ方は…

アフター登山を楽しむ!!

えっ? 普通?

だっていつもは、車で登山口に乗り付けて、暗いうちから暗くなるまで休みなく歩いて、温泉にも入らず食事も取らず、下道を延々と運転して帰ってくるんですもの。

たまにはのんびり出発して、のんびり歩いて、下山したら温泉からのビールなんてのも、優雅でいいじゃないですか。

(そんなのいつもやってるよってブルジョアな方々は、なにか別のこと考えましょう。)

あ〜、これきっと絶対に楽しいはず。
そう思うと、試してみたくてうずうずしてました。

そこへグッドタイミングなことに、週末の天気予報は雨。

やったー!雨だ〜! これは実行するしかありません。

行き先の選定は慎重にしました。

雨だと濡れるし滑るし危険だから…ではなく、公共交通機関で行けて、下山後に温泉と素敵な飲み屋があるところでなくちゃいけません。

というわけで、無難に高尾にしておきました。近いですしね。

歩いたことない北高尾山稜で堂所山まで行き、景信山から下山する予定です。
アフターは、ふろっぴーからのあさかわ。由緒正しいゴールデンコースですね。

出発早々、雨が降ってきました。

北高尾山稜は歩く人も少ないのか、最初のうちはちょっと荒れてました。
早くも、こんな雨の日にこんなとこ来るんじゃなかったって気分です。が、歩かなければ飲めません。がんばります。

今回は雨対策に傘を持ってきました。カッパは蒸れるので、できるだけ着たくありません。一日中カッパを着てると、雨で濡れる以上に汗でぐしょぐしょになります。
駅の階段を上ったり、ものを食べたりするだけで汗が出る、新陳代謝の激しいわたくしには、ゴアテックスなどあまり意味がありません。

傘はなかなか快適でした。涼しいし濡れないし、ビニール傘にしたので暗くもありません。

雨で濡れた落ち葉や根っこは滑ります。下り坂は特に危険です。

慎重に歩いていてもやはりどうしても滑ってしまうもの。滑った拍子に傘をついたら、傘のホネがバキバキに折れてしまいました…。
まだ歩き始めていくらも経ってないのに…。

もはや傘というより、棒の先にビニールの切れ端をくっつけたゴミといったほうが適切な物体を差しつつ歩きます。だいぶモチベーション下がりましたが、歩かなければ飲めません。耐えます。

北高尾山稜は長くて単調で、だんだん飽きてきました。そのくせ小さなピークはいっぱいあって疲れます。
エスケープルートもいくつもあるので、何度も心折れそうになりましたが、そのたびに気持ちを奮い立たせて、目的地の堂所山を目指してがんばります。

うーん。全然のんびりしてない。なんかいつもとあまり変わらないぞ…。

まあ、途中で下山してもお酒は飲めますが、それではおいしくないのです。おいしく飲むには、やり切った感が必要です。

最後に高尾陣馬間の縦走をしたのは、もう何年も前のこと。その時、いつもは巻いてしまう堂所山に初めて登りました。
けっこう急な斜面を登って山頂まで行ってみると、そこは展望もなく、なんの変哲もない狭いピークでした。
同行者は「はあ?なんでこんなとこ登りたいって来たの?」と文句を言ってましたが、自分にとってそこは、新たな世界への扉が開いた頂きとなりました。

堂所山の山頂からは、さらに先へと道が続いていました。山頂を超えて向こう側へ続く道。ちょっとした踏み跡ではなく、しっかりした登山道でした。

この先にも道があるんだ。この道はどこへ続いているんだろう。この先へ行ってみたい。このままこの先へと歩いていきたい。

当時は北高尾山稜ルートの存在など全く知らず、それは未知の世界へと続く道だったのです。

道は続いているんだ。知らない世界へ歩いていきたい。

その時のあの気持ちが、いまに繋がっているんだなと思います。

いま、あの時の未知の領域を抜けて、あちら側から堂所山を目指すのです。あの道の向こう側からやってくるのです。途中でエスケープするわけにはいきません。あの日の自分に追いつかないと。

なんかいつもとあまり変わらないですね。全然のんびりしてないじゃないの。なんだかおかしくて、笑いがこみ上げてきました。

こんな雨の日にこんなとこを歩いてるのは、他に誰もいません。ひとりで黙々と歩き続けます。

そろそろかな?そろそろかな?と思いつつ最後の登りを登り切ると見えました。堂所山の山頂標柱が。

あそこだ!ついに着た。あの日、どこまで続いているんだろうって不思議に思ったあの道を歩いてきたのです。感慨ひとしお。

さて、雨はじゃんじゃん降ってますし、早く温泉入ってビール飲みたいです。ゆっくり座ってもいられません。感動は一瞬にして、先を急ぎます。

高尾陣馬縦走路へ出て、これも思い出の景信山まで歩き、そこから小仏へ下山しました。

最後はダッシュで14時40分発のバスに飛び乗り、ふろっぴーで烏の行水を済ませたら、締めはあさかわへ。ニヤニヤしながら暖簾をくぐりました。

ビールとってもおいしかったです。