家から走って多摩100山 – 七国山
新ハイキング社刊行の「多摩100山」のうち92山には登っているが、残りの8山にはなかなか登る気になれない。なぜなら残りはすべて平野部にあるからだ。
コロナ禍で遠出ができないときに、自宅近くのいくつかには登った。こんなところに山が?と訝しながら行ってみると、そこは公園だったり神社だったりした。いちおう山っぽくはあるが、山と言い張るには多少の無理があった。
多摩100山、放置していたが、ちょっとだけ残ってるのはやはり気になる。かといって、わざわざ行こうとも思えない。
そこで、ひらめいた。走って行けばいいじゃん!
車で行っても電車で行っても軽い散歩にすらならない程度の山とも言えない山ばかりだが、家から走って向かえばそれなりのトレーニングになる。ダイエットとトレーニングを兼ねてジョギングしなきゃなと思うものの、ただ走るのはすぐに飽きてしまうので常に三日坊主だ。でも、目的地があるなら楽しんで走れる気がする。
残り8山のうち比較的近そうな町田の七国山まで走って行くことにした。
我が家は標高113mの山の上にあるので、まずは麓へ下る。そこからはダラダラと登ったり下ったりが続く。平坦に見えるが、思ったより起伏がある。
途中で尾根幹線という道路を越える。尾根幹までは緩やかな上りで、尾根幹を超えると下りになった。つまりこの道路は尾根上を走っているのだ。かなり緩やかな超バカ尾根だが尾根は尾根。なぜこの道路を尾根幹というのか今までわからなかったが、車だと気づかないことも走ってみるとわかるものだ。うん、走るって良いな。
道が次第に狭くなり、山道っぽくなってきた。地図を見ながら分岐を七国山方面へ向かい、上へ上へと進んでいく。周辺で最も高い場所が七国山だろう。
七国山は公園でも神社仏閣でもなく、単なる住宅地だった。斜面が民家で埋まっている。
なんじゃこりゃと思ったが、これはこれでおもしろい。
山頂の手前には蕎麦畑があった。まさか町田で蕎麦を栽培してるとは思わなかった。標高100m程度でも蕎麦ってできるんだ。
町田蕎麦を食べてみたい気もしたが、完全な住宅地なので地粉使用の蕎麦屋なんて気の利いた店は無い。というか店自体が無い。
舗装路の最高地点が、鎌倉と高崎を結んだ鎌倉古道の七国峠になる。
千年近く前、「いざ、鎌倉!」の掛け声と共に、この道を坂東武者が駆け抜けたと思うと、なんだか不思議な気分になる。
峠を越えると下りになる。
峠の手前に少し高くなった場所があったので、そこが山頂だろう。道はないので、車道の脇から強引に登った。
うんうん、ここだな。七国山登頂だ。冷静になって見るとなんてこともない空き地だが、走って来ると感慨深い。いいのだいいのだ、これでいいのだ。
山頂は住宅地だが、周辺にはボタン園やダリア園、薬師池公園にリス園といった観光地があり、駐車場もあるので車を停めてサクッと歩くこともできる。でも、それだとわざわざ来ようって気にはならないんだよね。
家からここまで12km、公共交通機関が無いので、帰りも走って帰らなければならないのはちょっとダルい…。
2024年9月