琵琶湖の北の宿場町 – 木之本

平入の町家やうだつの上がる家、洋風建築に昭和の商店が入り混じって賑やかな町並みだ。

町には三軒の醤油醸造所と二軒の造り酒屋があって、歴史の古さを物語っている。

琵琶湖の北に位置する木之本は地蔵院の門前町として町が起こり、江戸時代に北国街道が整備されてからは宿場町としても発展した。北陸道と中山道を結ぶ北国街道の中間地点であり、関ヶ原へ抜ける北国脇往還の分岐点でもある木之本は交通の要衝だったのだ。

本陣を務めた竹内家は、明治になると薬屋を営んだ。木製の薬看板がいまも掲げられている。なかなかかっこいい看板だ。

駅前にある江北図書館は明治39年に私設の図書館として地元の弁護士により設立された。地元の名士の地域の文化貢献への熱意の結晶だ。120年後の現在も図書館として運営されているのは、脈々と続く地域貢献意識と地元民のたゆまぬ努力のおかげだろう。

木之本の町には開いている店も多く、人通りもあって今でも生きている町並みだが観光客はほとんどいない。インバウンドもここまでは届かない。

2025年2月