2021年 千葉の旅
以前はよく遊びに行ったのに、最近はさっぱり行かなくなった県、それは千葉県。
でも、千葉にだっていいところはある。そのへんで取れた魚介類、そのへんに咲いてる草花、微妙な観光スポット。とても低いけど、いちおう山だってある。それらは昔も今も変わりなく千葉にあるのだ。変わってしまったのは千葉ではなく、ぼくの方だ。
たまには千葉でも行ってこよう。ふと、そんな気持ちになった。千葉の魅力再発見のワンデイトリップに出発だ。
まずは朝ごはんに竹岡式ラーメンを食べた。豚肉の塊を醤油で煮た煮汁をお湯で割って、乾麺を茹でてぶっこんだあれだ。
ローカルなおばちゃんたちの作るローカルな風味のラーメンを、ローカルな情緒のある店内で食べる。千葉に来たなあという実感が沸々と湧いてくる。おなかもいっぱいになったし千葉のローカル感も味わったので、もういいかなとも思ったが観光もする。
次に向かうのは日本寺だ。数多くの微妙な観光地を有する千葉県内でも最大級の微妙な観光地、それが日本寺である。
まずは大仏を見学。観光の皆さんに混じって写真を撮る。
昔々の青春時代にデートで訪れて以来の訪問だ。デートで日本寺というのも、いまから思うとかなり微妙だったが、その後、別れてしまったのは日本寺のせいではない。微妙な観光地をデート先に選定したぼくが悪い。
大仏の後は、変な仏像が並ぶ道を登って山頂へ向かった。
山頂にはけっこうな数の人がいた。このご時世でもこれだけの集客力があるのだから、日本寺は観光地としてなかなかうまくやってるようだ。デートらしきカップルも見かけたが、我が身を振り返り少々心配にもなった。
以前に来た時は、ここが鋸山の山頂だと思っていたが、展望台や地獄のぞきがあるのは日本寺内での最高地点であって、鋸山の本当の山頂は境内を抜けてずっと歩いていった先だったということを最近知った。
今回はそこまで行き、正しく鋸山に登頂するとともに、昔々の苦い記憶を上書きするのも目的のひとつだ。
磨崖仏の前を通り、日本寺を出ると、そこはかつての石切場であった。寺の中は珍スポット的な観光地に仕立てられているが、寺の外はマジメな歴史遺産である。
岩壁から石を切り出した石切場の跡は、巨大で荘厳で単なる採石場には見えない。超古代文明の遺構だと言われても納得してしまいそうだ。
見応えがあってあちこち探検してしまった。もしもデートでここまで来てたら、彼女そっちのけで歩き回って、呆れられ度がより増していただろう。
途中の展望台からは海が見えたけど、山頂は木々に囲まれて地味だった。地味だけど、別にそれはどうだっていい。
ずっと登頂したつもりでいた鋸山に、これでほんとうに登頂したのだ。数十年前の自分にケリを付けたのだ。
あの頃のあれこれも、あれはあれで悪くはなかった。あの頃があるから今があるのだ。懐かしい記憶も苦い記憶も、すべてまとめて思い出の箱に閉まっておこう。
2021年10月
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