お手軽に登る関西の山〜前編 – 金剛山 / 大和葛城山

年末年始の天気は大荒れの予報であった。日本海側や東北は大雪になりそうだ。典型的な冬型の気圧配置で関東地方は晴天が続くが、せっかくなので遠出がしたい。なにせ年に一度の五連休なのだから。

ここ何年かの正月休みは九州に出かけていたが、1300kmも運転して荒天に突っ込むのはさすがにやめておきたい。そこで、天候と移動距離を勘案して関西へ行くことにした。太平洋側なら天気の大崩れはないだろう。とりあえず大阪を目指す。大阪は大都会だから、この時期によそ者がうろうろしていても見咎められることもない。

関西最初の山は金剛山に登ることにした。ほんとうはもっと高い山に登るつもりで地図まで買ったのだが、高い山は天気が荒れてて雪も深そうなので、お手軽なところへ変更した。

登山口も登山道もいくつもあってよくわからないから、適当なところに停めて、適当なところを登る。

2時間足らずで売店のある広場に出た。子供連れで登ってきてる家族もいて、ここは関西の高尾山みたいなとこなのだろうか。

広場には立派なお寺もあり、ここが山頂かと思って休憩していたが、さらに上へと登れそうだ。とりあえず行ってみる。

お寺のわきから登っていくと神社に出た。拝殿の前に山頂の表示があったが、最高地点は本殿の裏になる。そこまで登ってみようとしたら、禁足地であった。

下山は登りとは違う道を使った。登山道はいくつにも分岐していて、道標を見ても地名がまったくの不案内だ。何度も間違えそうになりながら下る。どうしてこんな簡単なところで?と訝しい遭難は、こうして起こるのだろう。

水越峠まで下ったら、こんどは葛城山へ登る。

樹林帯を抜けると視界が広がった。相変わらず頭上は厚い雲に覆われている。金剛山はいまだ雲の中だ。しかし麓はよく見えている。眼下の街はどこなのだろう。

木々は霧氷で白く染まっていた。もしも太陽の光に照らされていたら青空の下でキラキラ輝いていたのになと思うと、ちょっぴり残念であった。

山頂らしきところに到着したが、緩やかな起伏で波打つ丘が連なっていて、どこが最高地点なのかさっぱりわからない。

そり遊びには最適な地形だ。子供たちがキャーキャー叫びながら登山道を滑り下りてくる。ロープウェイでも上がってこれるようで、何人もの幼い子供たちが遊んでいた。

起伏の連なりを奥まで進むと、山頂の表示があった。傾斜がほとんどないので、そり遊びの子供たちはここまで来ない。

山頂ライブカメラという名の静止画が10分間だけ表示されるやつに、ひとりで写り込んでから下山した。

2020年12月