三峯神社の三つの峰

東京都最高峰の雲取山。なんとなく東京の山という印象ですが、山頂は埼玉県や山梨県にも属していて、埼玉百名山や山梨百名山にも選ばれています。

東京の人は東京側の鴨沢(鴨沢は山梨県ですが)から登ることが多いでしょう。わたくしも何度も登ってますが、鴨沢や石尾根、奥秩父主脈縦走路など、南側からしか登ったことがありません。

そこで今回は北側の埼玉県から登ってみることにしました。

秩父の三峯神社が登山の起点になります。

雲取山は、三峯神社の三つの峰のひとつであり、三つの峰の中心の山です。あとの二つは妙法ヶ岳と白岩山。三峯神社からこの二つの峰を通って雲取山を目指します。

ひとつ目の峰は妙法ヶ岳。ここは三峯神社の奥宮でもあり、山頂には立派な社がありました。

三峯神社からわずかの距離ですが、雲取山への縦走路からは外れているため、わざわざ登る登山者は多くないようです。しかし、ここは由緒正しく(?)ひとつ目から順に登っていきます。妙法ヶ岳は、関東百名山のひとつでもあり、山頂からはこれから歩く縦走路が望めます。

縦走路へもどると、本格的に登りが始まります。霧藻ヶ峰を超え、前白岩山、白岩山と登っていきます。

山は、深い森に包まれています。鬱蒼と生い茂る原生林の森。石尾根の明るさとは対照的な、暗くて深い原始の森。展望はなく、ただひたすら登るのみ。これぞ奥秩父。実に、山らしい山です。石尾根のほうが一般受けはいいのでしょうが、こんな山を登っているときこそ、山を登ってるんだなって実感が湧きます。

白岩山から芋の木ドッケを経由して大ダワまで下ると、雲取山への登りに取り掛かることとなります。

ここまでもそれなりに歩いてきたあとの、最後の登りです。

秩父のオオカミ信仰の総元締めである三峯神社の一の霊峰、それが雲取山です。

こちら側から登ってみると、雲取山というのは埼玉県の、というか秩父の山なんだなあと感じます。東京側の丹波山村(丹波山は山梨県ですが)の信仰を集める山は、雲取山ではなく、その手前の七ツ石山です。

雲取ヒュッテを超え、雲取山荘を過ぎると、いよいよほんとに最後の登りです。鬱蒼とした原生林の中を黙々と進んでいくと、ぽっかり開けた空間に出ました。

着いた。ようやく山頂です。山頂の先には、いつも歩く明るい石尾根が軽やかに伸びています。

ただひたすら森を登り、最後に飛び出した開放的な山頂。霊峰雲取山の登山の真髄は、三峰からの信仰の道にあるのかもしれません。