家から歩いて多摩100山 – 大松山 / 天王森ノ山

多摩百山というのがある。文字通り、多摩の山から百を選び出したもので、どこかの山岳会が何年か前に発表した。

これとは別に多摩100山というのもある。こちらは30年近く前に刊行されたハイキングガイドブックだ。

(多摩百山は当初多摩100山と記されていたが、名称の被りに気づいたのか、いつしか多摩百山となっていた。インターネットの古い記事には旧表記のままのものもあるが、ここでは百と100で区別する)

多摩百山と多摩100山、被ってる山が多いのは当然だが、違いもある。

百山は山岳会らしく、登山の対象となりうる山から選出している。多摩なので低山も多く含まれているが、それでも山らしい山だと言える。

一方、100山のほうは奥多摩や高尾以外に、府中市や多摩市、町田市などの市街地にある山も選んでいる。山というよりは丘、というか公園であり、ハイキングですらないような「山」だ。自宅のある山は選ばれてないが、谷を走る通りを挟んだ向かい側の山は多摩100山のひとつである。

さて、前置きが長くなった。多摩100山の中の市街地山には、わざわざ行くことは一生ないだろうと思っていたが、お出かけ自粛期間中に行ってみることにした。わりと近くて自宅から歩いて行けなくはないから、これも散歩の範疇である。

お向かいの多摩100山には登ったことがあるので、次に自宅から近い大松山とやらへ行くことにした。

自宅周辺のハイキングコースを駅とは反対側へ向かう。こちら側へ丘陵地を下っていくと田んぼや牧場もあり、谷戸地には保存緑地もある。

丘陵地を下りたら市街地を流れる沢沿いを進み、再び新たな丘陵地を登っていくと、ようやく公園の入り口だ。ここまでで二駅分以上歩いている。

公園の案内板には山頂の表記はなかったが、最高地点が大松山だろう。園内に張り巡らされた遊歩道を上へ上へと登っていく。登るにつれて人は少なくなり、山っぽい雰囲気になってきた。

登り切ると広々とした平地に出た。まるで公園のような山頂だ。いや、公園なんだが。山頂には立派な東屋やベンチにテーブルの他に、円形の巨大な記念館もあった。

山頂の片隅にひっそり立っていた標識には「丘の上広場」と記されていた。大松山という表記はどこにも見当たらないが、ここが最も標高が高いし、ここを山頂としていいだろう。たぶん。

公園を抜けて舗装路を歩き、この先のもうひとつの多摩100山である天王森ノ山へ向かった。

階段を登って標高を上げ、さらに舗装路を歩いていくと、神社の入口があった。この中が天王森ノ山のはずだ。

短い階段を上がると神社の境内である。ここが山頂なのだろうか。まったく山頂感がないが。というか、普通に神社だ。

うろうろすると、片隅に三角点があった。ここが多摩市最高地点、標高161.7mである。最高地点のわりには、日陰な存在であった。

多摩100山を二つ登って満足したので家に帰ろう。帰り道はショートカットで直線的に進むつもりだが、それでもここまでと同じ程度には歩くと思うとうんざりした。

市街地を歩くのは、なかなかに疲れる。

2020年5月